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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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Twitter300字SS 第五十回参加作品

お題「薬」
ジャンル:オリジナル、とある不思議な世界の話
注意書き:特になし

内容自体は単発ですが、舞台は9・10月の話と同じです。

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「ここにある薬を順番に並べておくように」
 薬屋の店主が見習い薬師に与えた最初の課題は、今朝仕入れたばかりの薬種を整理すること。どのように、と聞けばこう言って笑うだけ。
「まずは君が考えて一番良いと思う方法でやってごらん」
 店主は同じく見習いの受付嬢を連れて外へ出て行った。
 大きな机には容量も形も様々な器が置かれている。袋詰めの花びら。箒のような草。色つきの水に浸かった根。キノコの笠が集まった手毬のような塊。
 見習いはしばらく悩んでから、小さな体で懸命に器を動かし始めた。
「できました!」
 報告を受けて戻ってきた店主が吹き出した。
 種類も効果も関係ない。似た色の薬種が隣同士に並び、机の上で大きな輪を作っていた。
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Twitter300字SS 第四十九回参加作品

お題「灯す」
ジャンル:オリジナル、とある二つの世界の話
注意書き:特になし

11月は参加できなかったので2ヶ月ぶり。というわけで今回は1時間で2本書きました(後半は先月のお題「霧」も使いました)。
冬の迎え方も年月の感じ方も、不思議との出会い方も、人それぞれです。

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「ランタンと歌声」

野菜で作った色とりどりのランタンを手に、子供たちが目抜き通りを行進している。
窓辺に立っているだけで寒さが身にしみるほどだ。彼らはもっと寒いだろう。それでも楽しそうに笑うから、ついこちらも笑顔になる。
山間の村が厳しい冬を乗り切るため、あえて冬の妖精を歓待したという儀式が形を変え、今は楽しい行事として国じゅうに定着した。

ランタンを作ろう。あの子を迎えに行こう。
古い歌を口ずさみながら瓜の中身をくりぬいていた娘の背中を思い出した。
今頃どうしているだろう。あの日の私たちがそうしたように、我が子のランタン作りを見守ったのだろうか。危なっかしい手つきにはらはらしたのだろうか。
遠い街からの便りは今日も来ない。

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「幻の列車」

それのヘッドライトが霧を裂いて現れたときは、驚くあまりシャッターを切ることを忘れていた。
こんな天気なのに列車を走らせるなんて。目を疑い鉄道会社を疑ったが、すぐどうでもよくなった。僕らの前を通り過ぎていった先頭車両はとうの昔に廃れ、静態保存ですら残されていないはずの。
顔を見合わせた僕らがその形式名を口にした瞬間、汽笛の音がすべてをかき消した。
身をすくめてからもう一度見上げると、何両も連なった客車が僕らの前を通り過ぎるところだった。慌ててカメラを構え直したときにはすべてが霧の中へ消えていた。

あの列車は何だったのか。
明かりが灯る客車に見えたいくつもの影はいったい誰だったのか。
答えは未だに分からない。
Twitter300字SS 第四十七回参加作品

お題「食べる」
ジャンル:オリジナル、とある不思議な世界の話
注意書き:特になし

前回の「秋」と同じ町からお届けします。

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装身具店の店主が隣にパン屋を開いた。
美しい細工や宝石を参考にした斬新なパンが受け、焼いたそばから売れる人気店になった。

ある日の黄昏時、薬屋の受付嬢が噂のパン屋を訪れ、奇妙な点に気づいた。
この時間に大量の商品が棚に並んでいる。いくら人気でも今日中に売り切れる量には見えない。
余ったパンは誰が食べるのか。まさか店主が?

気になった受付嬢、店じまいの頃に再び様子を見に行った。
中から現れた店主がドアの前で鐘を鳴らすと、地面から半透明の腕が大量に生えてきた。そして売れ残りのパンを競うようにさらって店の床下に消えた。
「また明日も頼むよ」
それは宝石を狙う不届き者から店を守る番人だと、店主がこっそり教えてくれた。


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Twitter300字SS 第四十六回参加作品

お題「秋」
ジャンル:オリジナル、とある不思議な世界の話
注意書き:特になし

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収穫祭は秋の終わりに行われるが、儀式に使う魔法薬の仕込みは夏が終わる前に始まる。
薬屋の店主が取り寄せた材料を見て受付嬢が首をかしげた。
「収穫祭の道具にしては……地味ですね」
「そりゃそうだ、どれもいわゆる雑草だからね」
店主が笑う。
「こいつを加工した薬を、収穫が終わった畑の外を一周しながらまいていく。人間が使わせてもらう範囲をしっかり示して、これ以上は耕さないから悪い妖精をよこさないでくれって、大地の精霊と約束するのさ」
「お互い手を出さないように線を引くんですね。もし破ったら?」
「途切れた線から食いしん坊が入ってくる」
二人が同時に振り返って店先を見た。
飴玉の瓶を盗もうとした小鬼が慌てて逃げていった。

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Twitter300字SS 第四十五回参加作品
お題「帰る」
#Twitter300字ss
ジャンル:オリジナル、どこかの違う世界の話、単発
注意書き:特になし

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戦禍によって村を追われた男が、ある都市の神殿にたどり着いた。
故郷へ帰りたいと願う男に女神の託宣があった。
「決して後戻りせず、ただ進みなさい。あなたが望む場所はその道の先にある」

示された道は故郷と全く異なる方角だったが、男は言われた通りに旅立った。どんな困難を前にしても足を止めず、引き返さず、時には道なき道を選んで先を目指した。
立ち寄った土地では女神の教えに従い善行に励んだ。しかし人々からその地にとどまるよう求められても従わなかった。

そして十年後、男は再び故郷の土を踏んだ。
生き延びていた親戚が男を見つけ、家に招き入れた。
「この村は昨日ようやく争いから解放されたんだ。さあ、一緒に故郷を立て直そう」

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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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