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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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カフェパ話。

いよいよ荒れてきた、その当事者たちの話も書きたいんだけど。
そっちは言葉がまとまってくれない。

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「そういえば最近、あの人のことを全然話さないよね」
 一通りの話を終えた後、鉄格子の向こうから返ってきた答えは、出した話題のどれにも触れないものだった。
 予想と大きくかけ離れすぎた発言にアークは面食らった。何よりも驚いたのは、具体的に指名されてもいないのに“あの人”が誰を指すのかすぐに見当がついてしまったことだ。
「……そういえば、そうだな」
 決して意図的に避けていたわけではなかったけれども。
「もう1年以上は聞いてないと思う。何かやらかして捕まったの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「私は部外者だから話せないって?」
「それも違う」
 相手はこちらの目をじっと見つめてくる。首を振ってため息をついて、それでもごまかせそうにないので、正直に答えた。
「そいつの件に関しては俺も部外者なんだと。だからちゃんとしたこと教えてもらってないんだ」



 薄汚れた白い服の胸元に刺繍された“10793”という数字が、その女の唯一の身分証明だった。
 容姿は至って平凡。夕暮れ空を思わせる赤毛はその地方の出身者によく見られるものだし、体の発育も年相応にして平均的。顔にも体にも目立った特徴はなく、きちんとした服を着せて外を歩かせれば、すぐに他の娘たちの中にとけ込んで見失ってしまうだろう。
 しかし彼女にそんな日は決して来ない。
 彼女は囚人である。
 とある事件に関わり、裁判で終身刑が確定し、服役している。

 その女の名と罪状を知らない者はいない。そして彼女と面会室で向かい合う男もまた、看守たちの間ではちょっとした有名人だ。
 月に一度、その鮮やかな緑色の髪を隠すこともなく塀の中を訪ねてくる。本職のパフォーマーとして慰問を行ったり、吟遊詩人を連れてきたりすることもあるが、そうでなければ目的は決まって彼女との面会だった。
 彼はその女の後見人である。
 実は秘密組織のスパイで、天涯孤独の少女の身元を引き受けたのも何かの任務の一環である、などという噂もあったが真相は不明だ。



「ルドルフのことは話してくれるのに。仮にも同じ目的を持ってた“仲間”なんでしょ?」
 女はまだ引き下がらない。同じくアークにとっては管轄外である人物の話を持ち出してきた。
「しょうがないだろう、上の決定なんだから」
「でも本部長は交代したんでしょ? 年上?」
「年下。……あのな、それより……」
 部屋の隅にいる今日の立会人は最近赴任してきた人物で、彼らの事情をあまりよく知らない。訳の分からない話に困惑しきった彼の視線を気にしてアークは話題を変えようとしたが、見張られている相手の方は姿勢も態度も崩さなかった。
「だったら年長者の力でねじ伏せなさいよ」
「何だそれ。だいたいそこまでして知る必要もないことだろ」
「必要ないことまで隠そうとしてるところが怪しい」
「……言われてみればまあ、そうだけど……」
「なんなら私が知りたがってるって言っちゃえば。そうすれば本部長もちょっとは考え直すんじゃない」
「………………」
 どこで覚えたのか、今度は自分の名前自体を交渉のカードとして突きつけてきた。端から見れば、この女はどう考えても、そんな発想にふさわしい立場も身分も持っていない。しかしそんなことも忘れそうになるほど、彼女の言葉は堂々としたものだった。
 そして困ったことに、実際ある程度の効果は見込めるのだった。これはアークだけが知っている事実だ。

 目の前の女と、記憶の中にある少女が、同じだと分かっているのにどうしても重ならない。
 誰もが“あんなことをするようには見えない”と口を揃えていたあの頃の彼女を――あの気弱な表情を――いったい何が変えてしまったんだろう?

「私は真剣よ?」
 意志のこもった眼差しがアークをとらえた。
「私はね、私と同じ罪を犯してほしくないの。あの人にも……他の誰かにも」


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人は過去の痛みを忘れようとする。
そして痛みをもたらした過ちを繰り返す。

とある異世界の、とある監獄の話。
遠くから発せられた声は、時間をかけて現場へ届く。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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