「宝物がやってきた」

Twitter300字SS 第八十回参加作品

お題「宝」
ジャンル：オリジナル、日常、とある平凡な一家の話
注意書き：特になし

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　我が子は車でも電車でもなく船にハマった。動画サイトで港や造船所の映像ばかり観ている。行きたいと言い出すのは時間の問題だろうが、子供には危険すぎないか。
「だったらちょうどいい、うちに連れておいで」
　電話越しの雑談で話を聞いた義母から提案があった。
「興味なくて忘れてたけど、そういえばそんな時期だった」
　伴侶が渋々了承したので、週末に三人で義母を訪ねた。
　子供は海ではなく山奥へ行く両親に文句を言ったが、縁側に通されると目の色を変えた。
　畳一面を埋め尽くす小さな大船団。義父が藁を編んだもので、縁起物を積み込めば正月飾りの宝船になるという。
「一緒に作るか？」
「つくる！」
　義父の指導の下、我が家専用の宝船が出来た。

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字下げと改行を除いて300文字。

正月飾りの生産が始まっているという新聞記事をヒントに考えた話だけが具体的な文章まで浮かんだので、とりあえず他は見送り。
最近そういうのばっかりです。
せめてもうちょっと工夫したかったので、タイトルに複数の意味をかけています。

中心となる家族の性別と役割は、結局特定しない形にしました。どう読んでも通るようになっていると思います。多分。