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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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久々の、カフェパ話。
カテゴリ分けしたけどしばらく何も書けないでいた。

眠い頭で幻視した光景を書き留めるのに時間帯を選んではいられない。
(意訳:思いついたのをその場でメモ書きして翌日に編集した)

 開けた視界は薄暗かった。
 どこかの部屋だ。はっきりと見覚えがある場所ではなく、しかも、自分の足でここまで来た記憶がない。
 現在位置や置かれた状況を問いかける相手は見当たらない。彼は口を閉ざし、思索にふける。

 自らの行動をなぞって行き着いたのは、森に埋もれるようにたたずむあの店だった。必要があってそこに出向き、中へ入り、幾人かの先客と言葉を交わした。そんな覚えがある。顔も思い出せる。しかし話題は思い出せない。
 作り物の身体が機械の心臓部に刻む正確な時計とも照らし合わせて、それがおよそ半日前のことであったと知った。

――何をしていた?

 本物そっくりと称される質感の片手を強く握りしめると、手首の羽毛の合間から赤い炎が勢いよく噴き出した。
 調子は悪くない。確かめた彼は立ち上がる。窓から差し込む弱い光が、部屋の壁にバシャーモのシルエットを描いた。
 思索は続く。

 過ぎた時間と過ぎゆく今が結びつかない。
 カフェで誰かと会話したのは確かだが、どの時点でそれを打ち切り帰路についた、あるいは別の道へ向かったのか。そして何故この場所なのか。自分の記憶をいくら漁ってもめぼしい手がかりは見つからなかった。
 身体に残された記録を調べ直して、ようやく事態の一部を把握した。記憶装置へ動作のログを照会すると、店の屋根に降り立ってから約3時間後に精神体からのアクセスが途絶え、自動的にスリープモードに入ったという記述が返ってきたのだ。つまり現在地までは自分の足で歩いてきたわけではなかった。恐らく誰かの手で運ばれたのだろう。

――何を考えていた?

 近くに鏡も窓もなかったので本人は確かめられなかったが、その時の彼はひどく重苦しい表情をしていた。
 定まった視線は遠く、しかしその目の奥には何も映さない。やがて目を閉じ、自らの心の内だけをまぶたの裏に投影して、他の動きを何もかも忘れたように立ち尽くす。
 思索は続く。

 3時間。自分の意識が持っている記憶を時系列に沿って並べても、回路が書き記した経過時間には明らかに足りない。何かを忘れている。
 改めて記憶装置を探り、問題の時間帯に作成されたらしい画像データを1枚だけ拾い上げたものの、何故か破損が多く復元できなかった。断片から辛うじて“手書きの絵を見ていた”ことが分かった程度だ。
 描き手が誰であるかはすぐに思い出した。それが何に描かれたものかも。題材が何か……それが思い出せない。
 絵の内容ではなくその後に重要なキーワードがあると直感は告げている。
 しかし、思い出せない。

 初めて直面する現象ではなかった。
 それは、彼が片時も忘れずに抱え続けている長年の懸案事項について、何かを見出そうとしていた時に限って必ず起きる。今の不愉快な欠落感が過去に感じたものとよく似ていることに気づき、

――何を掴みかけていた?

 彼は舌打ちした。
 そして思索を打ち切り、部屋を出て行った。


 手がかりが自分の内にないのなら、外を探すしかない。


----------

7日深夜にカフェで交わした会話の後日談。
機械の体だからこそ出来る芸当というものを考えてみたくなった。

意識を失って倒れたサーリグは、その後アイグルさんの手で(文字通りその手で抱えて)運ばれ、メリーさんのご自宅に一時預けられていたようです。
でも目を覚まして体調が安定したらあっさり帰ったと思います。
理由もなくぐだぐだ居座るような奴じゃない。

「手書きの絵」は掲示板に出ている年末イベント告知の張り紙のこと。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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