Advent Calendar - 19

彼女は森の中で立ち止まっていた。
誰かと誰かが連れ立って、どこかへ出陣するのを、見てしまった。
苦い記憶が一つずつ芽吹くたび、手のひらに爪が食い込んだ。

誰かを助け出すとか、そういう話だったらいいんだけど。
必要以上に傷つくひとがいなければいいんだけど。

Advent Calendar - 18

彼女は暗闇の中にうずくまった。
誰に会うのも怖かった。
警戒と怖さを捨てきれなかった。

かつて一番恐れていたものは、もう……したけど。
今度は、もう、どうにもできないかもしれない。

Advent Calendar - 17

彼女は喫茶店を遠巻きに見ていた。
にぎわっていると余計に近づきがたかった。
かつて自分がああいう輪の中にいたことが信じがたかった。

あんな暖かい世界を、すすんで壊したがる人がいる。
運が悪かっただけって言われたけれど、本当なのかしら？

Advent Calendar - 16

彼女はカフェの窓辺に立っていた。
いつの間にか店内にクリスマスツリーが置かれていた。
少し変わった装飾もあったから、店員の仕業ではないとすぐにわかった。

なんだかまぶしくて、近寄れなかった。
暗い世界に慣れすぎたのかしら。

Advent Calendar - 15

彼女は客人に罠を仕掛けた。
出口を見失ってさまよい歩く様子を静かに観察した。
どんなに文句を言われても無視してやった。

人が組んだルールに従うのは煩わしいことだけど。
自分が何もかもを決めなきゃいけないっていうのも、面倒なものなのよ。