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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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Twitter300字SS 第十四回参加作品
テーマ「音」
ジャンル:オリジナル

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分厚く重い扉を慎重に閉ざした。
少しだけねじれたような空気が充満している。
ここは猛獣の口の中だ。尖った白い歯が上から前後左右から、あらゆる音を引き裂き食らい尽くす。
思った通り、私にずっとつきまとっていた悪態や罵倒や叱責や陰口を、まとめて飲み込んでくれた。
すっかり軽くなった心が浮き上がって、床に着地した。

でも、一息ついた直後から、私の耳は違う音を拾っていた。
白い楔の群れがささやきあっている。
振り払ったはずの騒がしい声が反響を繰り返しながら漂っている。
どこから?誰の声?
耳を澄ませると、雑音の中にひとつだけ静かに抗議するようなリズムを見つけた。
しばらく観察してようやくつかんだ正体は、自分の鼓動だった。

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化屋月華堂が本格的にオフラインへ進出します。
先日折本を出しましたが(配信期間が短かったのでブログでの告知は見送ってました)、今度は配布です。

Text-Revolutions 第2回にて、イベント内ユーザー企画「300字SSポストカードラリー」に参加することになりました。

企画のサイトにもう名前が載ってますね。
「Rista Falter」名義ですが、これは去年夏のポケモンアンソロジーでも使用した筆名です。
長いこと呼ばれてきた名前でツイッターの活動もしているし、今さら全く新しい漢字表記の名前を考えても逆に混乱させるし、ということでフルネーム式にしました。

なお、サークルとしてブースを出すわけではありません。
紙箱みどさんが「まよなかラボラトリー」として参加されるとのことなので、そこに相乗りさせていただくことになりました。
ポストカード以外にも何か持って行くかどうかは検討中です。
少なくとも委託物のお届けと挨拶回りとその他諸々があるので、当日は会場をうろついてるはずです。(寝込んでなければ。)

また、「SS企画《俺のグルメFESTIVAL》」のアンソロジー本にも参加させていただくことになりました。
このブログに載った2本のうちどちらかが掲載されます。

どちらの企画も、すてきなお話を書かれる方が他にたくさん参加されます。
自分のなんて余裕でかすむレベルです。楽しみ!


そういえば「日常」カテゴリで最近何も書いてない。
ツイッターに取って代わられたから、というわけではなく。(そっちでも普段の出来事のことはほとんど発信していません)
こういう場に書いていいようなことが起きない、ただ忙しいだけの生活をしている。たぶんそういうことでしょう。
何しろゲームの攻略も軒並み滞っているぐらいだから……
日曜から折本の配信(16日まで)、長編はいつも通り更新予定、さらにカフェパはイベント中。
今週は色々詰め込んでますが、合間を縫って別の企画に出すものも書いてました。

今回はSS企画《俺のグルメFESTIVAL》に2回目のチャレンジです。

テーマ『「これが! 俺の! グルメだ!!」を詰め込んだ、“おいしそう!”な飲食風景』
ジャンル:オリジナル/SF一歩手前

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 ブロック型のスープに初めて出会ったとき、SF映画のような時代はもう始まっていたんだと子供心に感動したことを、今でも鮮明に覚えている。その加工物が普段の食事ではなく宇宙に持っていくものだと聞かされると、私は安直な想像を巡らせたのだった。
 外は星空。宇宙船の中で一人漂いながら、淡い黄色のブロックを口へ放り込む。
 物語の続きは忘れてしまった。

 宇宙滞在七日目の朝食は、船内で収穫した野菜で作ったサンドイッチと、真空パックのスープ。封を切って口に含んだ液体は地球で味わうそれと少し違う感触だが、舌先がとらえたのは紛れもなく懐かしい故郷の味だった。
 子供の私が見たら贅沢だと思うだろうか。
 想像の先の先にあるのが未来だ。

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Twitter300字SS 第十三回参加作品
テーマ「お盆」
ジャンル:オリジナル
補足:自創作のスピンオフ、ただし未読でも問題なし

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 冥府の城壁の周囲が無数の胡瓜に包囲されていた。
「お盆は初めて?」
 先輩が呆然とする後輩の肩を叩いた。
 精霊馬という名は新米死神の研修で必ず扱われる話題の一つだ。でも多くはたかが胡瓜と侮り、そして現物を見て驚くという。
「種類は増えたけど数は昔より減ったかな。新暦と旧暦で分かれるし、作る人減ったそうだし」
 魂が形を失い次の生へ至るまでは時間がかかる。その間に未練を解消する手伝い、例えば現世への見送りも死神の仕事だ。
「これから忙しくなるよ」
 馬どころか猛獣、自動車、モーターボート、ロケットまで。勢揃いした乗り物は野菜自体の芸術か、込めた願いの具現化か。
 緑の軍団は祖霊を載せて現世に飛び立つ時を待ちわびている。

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今回はSS企画《俺のグルメFESTIVAL》に飛び込みました。

味覚関係の記憶力が弱い人なので、おいしそうに見えるかどうかは今ひとつ自信がないのですが、何事も練習しないと上達しないそうなので。

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 藍は意気込んでいただろう。
 タルトの飾りつけは完璧。後は表面のキャラメルを軽く炙るだけ。気合いを感じる鼻歌のリズムに合わせ、二つ結いにした髪が揺れた。
 私は手出しを禁じられていたが、バーナーに点火する瞬間だけは心配になって横目で見てしまった。

「どう? わたしだって、これくらいはできるのよ」
 切り分けたタルトを私に差し出す藍は満足げだ。焦がした色に少々ムラはあるが、気にしていないようだ。
 一口分を頂いて、私は笑顔の理由を知った。
 キャラメルに入り込んだ苦味をバナナが打ち消そうと頑張って、それをタルト生地の優しい甘さがフォローしてくれる。
「いつもありがとう」
 勤続半年。令嬢の運転手として初めてのボーナスだった。

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プロフィール
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Rista
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性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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