見送りの余韻

今回はSSでも告知でもなく、個人的な話になります。

先週、父がこの世を去りました。

単なる家族の話はここではしません。
化屋にも関わりのある人だったので、直後のいろいろが一段落した段階で、そのことに触れておきたいと思った次第です。

父はRistaの創作活動やファン活動にとても理解のある人で、いろんなことを手伝ってくれました。
最初のサイト作成の指南と環境づくり。
gekkadoドメイン取得・維持への協力。
短編「ストレイトロード」の下読みと助言。
「DROPOUT（オリジナル版）」も掲載時に目を通していたようで、コメントを貰ったりしました。
他にもいろいろとあります。
本当は自分が知っている以上に、その活動内容を見ていたかもしれません。

頼りになって、尊敬できて、気の合う父でした。
「ストレイトロード」で描いている擬似父娘の関係にも、それなりに大きく影響しているでしょう。他にもいろいろと。

そんな父に病気が見つかり、一昨年から入退院を繰り返すようになりました。
家族の手が必要な場面も多々あるということで、自分は創作活動やカフェパ参加を縮小し、手助けを優先してきました。
看病も介護も大変です。素人だと余計に大変です。諸々消耗しますしストレスたまります。
息抜きというか「自分のための時間」がないと、心と頭があれこれおかしなことになるんだという実感。
世間で時々起きている、ある方面の事件の当事者たちの気持ちが、何となくわかったような気もしました。

だから多少は自分の好きなことをやろうと思い、手伝いの合間を縫って、少しだけ活動を続けました。
昨年秋のテキレボ2へは委託＆手伝いで参加したのですが、その頃父はちょうど入院中。しかも会場と病院がそんなに遠くない。
悩んだ末に「撤収作業→ウォンラジ収録を見届け→見舞い→打ち上げ途中参加」とかいう無茶をやりました。はい。
（代表の御拗さん、関係者の皆さん、その節はご迷惑をお掛けしました）

春までは持たないのでは、と言われながらも父の状態は思ったより長く安定していたので、できればテキレボ3の良い報告も持ち帰りたかったのですが、それは叶わぬ結果となりました。
でも新刊（ルート140）の見本は間に合わせました。
病気が進行したせいで父はほとんど口がきけなくなっていましたが、藍ちゃんの写真で飾った表紙を、そして開いた中身を、真剣に見てくれました。
というかあの目の動きは読んでいた。ちゃんと読めていたかはわからないし感想も聞けなかったけど、見てくれた。
それだけでも発注を急いだ甲斐がありました。

結局、治療はうまくいかなかったけれど。
大切な応援者の一人を失ってしまったけれど。
こっちが残されたからには精一杯のことをして恩に報いなければいけない。
そう思っている次第です。


とりあえずテキレボ3には予定通り参加します。今月21日ですね。
父のために（ショック受けたとかで）諦めるとかいう展開は多分本人から怒られると思うので、体調も心の調子も整えて挑みたいと思っています。
ツイノベ集と短編とポストカードと預かりものを頒布・配布する予定です。

DROPOUTも先の話の作成が滞っているので取り返すつもりでいます。
その後、生活リズムが落ち着いたら（目安としてはイースターぐらいまでには）カフェパへの参加も復活させたいと考えています。
引き続き情報収集も頑張ります。

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あと、ここまで読んでくださった皆さんにどうしても言いたいこと。
「検査を受けるチャンスがあるならぜひ受けて！」

父は仕事の忙しさを理由に、自治体の定期検診や小さな症状での受診など、病気の兆候を見つけるチャンスをいくつも逃しました。
病気の発覚後も繁忙期に振り回されて治療開始が遅れ、その間に進行してしまった、というのも痛かった。
あのときああしていてくれたら。あの時間に戻れるなら。何度思ったかわかりません。

いわゆる「自分は大丈夫」みたいな自信、「悪い結果が出るのが怖い」という本音、ありますよね。
でも本当に大丈夫なら検査で真っ白な結果が出るわけだから、それで堂々と威張れるし。
大丈夫じゃなくてももしかしたら初期症状で、手の打ちようがたくさんあるかもしれないし。
後で何か問題が見つかった時に突きつける“証拠”になるかもしれない。
ほぼ大丈夫と言われて様子見してたらいつの間にか手遅れだった、という話もよくあるのです。

どうか皆さん、自分の体を大事にしてください。
遊ぶにしても創るにしても、元気で余裕のあるコンディションじゃないと、うまくいくものさえうまくいかなくなります。

利用できるものはどんどん使ってください。
学校や勤め先の健康診断、無料やちょっとの手数料で利用できる制度、もったいないので活用してください。
お休みを取るのは大変かもしれないけど、その一手間が、将来の大量出費や長期休養を回避する鍵になるかもしれないんです。

いのちだいじに。

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どうしても言っておきたかったことは以上です。

自分は引き続き、自身の心身の安定を目指しながら、活動頑張ります……

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「飛花落葉」

Twitter300字SS 第十九回参加作品
お題「別れ」
ジャンル：オリジナル/原作なし
注意書き：特に無し

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遠い昔、公園を散歩していて、変わった形の落ち葉を拾ったことがあった。
一緒に歩いていた祖父が、それはユズリハだと教えてくれた。
まだまだ幼かった僕は、その名前の由来や縁起のことを理解できなくて、ただ祖父の自慢気な口ぶりだけを後々まで覚えていた。

やがて祖父から父へ、そして僕へ、家督も財産も巡ってきた。
黒い額縁の写真が並んだ部屋で一人思う。
次の世代のためにさっさと身を引く。何が潔い姿勢だ。こっちは一度だって、もう譲ってくれなんて言ってないのに。
僕は立ち上がると、障子を全開にして、煙草に火をつけた。
庭に紫煙が踊る。
吸うのは今日で最後にしよう。僕はいきなり全てを置いていくような別れ方なんか絶対したくない。

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本人はともかくとして。
立場が変われば、という話。

もちろんフィクションです。はい。

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「運命の色は目に見えない」

Twitter300字SS 第十八回参加作品
お題「光」
ジャンル：オリジナル/原作なし/日常の一コマ
注意書き：特に無し

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出会った瞬間の彼女について、後光が差していた、と男は言った。
彼女の魅力を全力で熱弁する姿は天使か女神との遭遇を語るようだった。
何事にも消極的な性格のはずなのに、今回は誰にも相談しないで告白に踏みきれたというから恐れ入る。

出会った瞬間の彼について、やけに目が輝いていた、と女は言った。
彼との出来事を列挙する語り口は珍しい生き物を拾った話のようだった。
最初は全く興味がなかったのに、連日の猛アタックに気圧されついに根負けしたというから恐ろしい。

二人共が私の知人で、私はどちらの本性も知っている。
喫茶店のカウンターの奥で、強い西日に目を細めながら今日も待つ。
さあ、今日はどちらが惚気話を持ってくるだろうか。

今後の見通し

・サイトの方で告知していますが、テキレボ3に出ます。
・その陰に隠れてDROPOUTの更新も細々と続けます。
・カフェパの方はあれこれ準備中です。あとオフ会レポも今度出します。

今年も化屋の設立日には何かしたいなぁ……

2015年

ツイッターの方では漢字で表すなら「超」とかつぶやきましたが、Ristaとしての活動以外にも目を向けると、あまりにも慌ただしい一年でした。
今年何があったとか、辛うじてテキレボぐらいしか思い出せないような一年でした。
その理由は詳細どころか概要もちょっと書けないような話なので何も言わないことにします。

ベストとはいえない一年でした。
来年はもっと良くならなかったら割に合わないとしか思えないので、全力で走ります。