「隣の店」

Twitter300字SS 第四十七回参加作品

お題「食べる」
ジャンル：オリジナル、とある不思議な世界の話
注意書き：特になし

前回の「秋」と同じ町からお届けします。

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装身具店の店主が隣にパン屋を開いた。
美しい細工や宝石を参考にした斬新なパンが受け、焼いたそばから売れる人気店になった。

ある日の黄昏時、薬屋の受付嬢が噂のパン屋を訪れ、奇妙な点に気づいた。
この時間に大量の商品が棚に並んでいる。いくら人気でも今日中に売り切れる量には見えない。
余ったパンは誰が食べるのか。まさか店主が？

気になった受付嬢、店じまいの頃に再び様子を見に行った。
中から現れた店主がドアの前で鐘を鳴らすと、地面から半透明の腕が大量に生えてきた。そして売れ残りのパンを競うようにさらって店の床下に消えた。
「また明日も頼むよ」
それは宝石を狙う不届き者から店を守る番人だと、店主がこっそり教えてくれた。


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内容自体はお題発表直後に思いついて、その日のうちに書き上げました（この企画に参加し始めてから最速記録）。
しかしタイトルだけ決まらずに一週間！
ちょっと他のことに追われすぎましたね。

しばらくこの路線で行くか、また違う舞台を考えるかは、次のお題次第。

来週は名古屋コミティアに参加します。何を食べるかも悩むところ！

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「祭りの前」

Twitter300字SS 第四十六回参加作品

お題「秋」
ジャンル：オリジナル、とある不思議な世界の話
注意書き：特になし

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収穫祭は秋の終わりに行われるが、儀式に使う魔法薬の仕込みは夏が終わる前に始まる。
薬屋の店主が取り寄せた材料を見て受付嬢が首をかしげた。
「収穫祭の道具にしては……地味ですね」
「そりゃそうだ、どれもいわゆる雑草だからね」
店主が笑う。
「こいつを加工した薬を、収穫が終わった畑の外を一周しながらまいていく。人間が使わせてもらう範囲をしっかり示して、これ以上は耕さないから悪い妖精をよこさないでくれって、大地の精霊と約束するのさ」
「お互い手を出さないように線を引くんですね。もし破ったら？」
「途切れた線から食いしん坊が入ってくる」
二人が同時に振り返って店先を見た。
飴玉の瓶を盗もうとした小鬼が慌てて逃げていった。

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祭りの本番よりも準備期間の方が印象に残る、というのはよくある話。

秋という季節もそれなりにいろんな顔を持っています。
今はその入口にいるので、ついその辺の話を書いてしまいそうになりますが、もっと先を見ることにしました。
結果、さらに先を見ている人の話になりました。

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「望んだ場所」

Twitter300字SS 第四十五回参加作品
お題「帰る」
#Twitter300字ss
ジャンル：オリジナル、どこかの違う世界の話、単発
注意書き：特になし

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戦禍によって村を追われた男が、ある都市の神殿にたどり着いた。
故郷へ帰りたいと願う男に女神の託宣があった。
「決して後戻りせず、ただ進みなさい。あなたが望む場所はその道の先にある」

示された道は故郷と全く異なる方角だったが、男は言われた通りに旅立った。どんな困難を前にしても足を止めず、引き返さず、時には道なき道を選んで先を目指した。
立ち寄った土地では女神の教えに従い善行に励んだ。しかし人々からその地にとどまるよう求められても従わなかった。

そして十年後、男は再び故郷の土を踏んだ。
生き延びていた親戚が男を見つけ、家に招き入れた。
「この村は昨日ようやく争いから解放されたんだ。さあ、一緒に故郷を立て直そう」

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この企画に参加するときはたいてい、最初に書いたときは300文字に届かなくて悩むのですが、今回は逆でした。
いろいろ削りました。
でも言葉の選び方を変えたらまた違ったのかもしれない。

情報を詰め込めばいいというものじゃないし、読みやすさも大事だし……

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海の日は第７回テキレボで

せめてこれだけでも書いておこうイベントレポ。
5月のコミティアから始まった化屋初の挑戦、イベント5連戦のトリを飾ったのが、完全に常連となったテキレボでした。

事前の話。

相変わらず公式のウォーミングアップは早いし、企画が乱立するし。テキレボではおなじみとなった光景。
しかし条件に合わなかったり提出物をまとめる余裕がなさそうだったりと参加を断念したものも複数ありました。
最初から参加を決めていたのは300字企画さんだけで、しかし今回は売り子の確保が厳しそうなのでカウントのお手伝いは断念。
さらに今回は「どうしても出したかった新刊」の原稿やら何やらに手間取りすぎて、公式アンソロも断念しました。
後から新刊を出せる見込みができたことや、条件を読み直して大丈夫そうだと判断できたことにより、以下の企画に参加しました。
・300字ポストカードラリー
・ゆるっとSF
・現代ファンタジーMAP
・乗物旅行
・二次創作MAP
あと作品紹介アシスタントさんにもお世話になりました。

そして5月の文学フリマ東京の懇親会で飛び出したプランに協力し、作りました。れぼんちゃん3D。
（詳しくは『化屋ブースの裏側レポート』にて。）
かわゆいと言ってもらえるうれしさをかみしめつつ、今後の準備解散の遠征で活躍してくれることを願う。
……しかしねえ……この制作に手間取ったためか、他の予定をだいぶ圧迫してしまい、新刊はぎりぎりの着でした。怖い。


当日の話。
（写真はルート140最新まとめの最終ページにまとまっています）

設営は微妙に遅刻気味でしたが、最近身についてきた「積極的に仕事を取りに行く姿勢」が生きて、できることをたくさん手伝いました。
宅配搬入の荷物を各ブースへ運ぶ際に「千美生の里」さんの台車をお借りしました。ありがとうございました。

そうして、今回から新設されたローファンタジーのブースでイベントを迎えました。
しかし全体設営が早く終わって一足先に荷解を始めたはずなのに、結局一般入場開始のアナウンスに完成（ブース写真の撮影）が間に合わず。
その後も立て続けに凡ミスやど忘れをやらかし続けました。
・300字企画コーナーにポストカードとサークル賞を提出しに行き、サークル賞にペンを埋もれさせて戻る
　（後で気づいて取りに行った）
・お買い物代行の存在をすっかり忘れていてメンバーズの人が呼びに来る
　（実は無配1冊しか代行注文が来なかったので油断してました）
・買い物中、目的のブースを通り過ぎること数回
・一部の方がお買い物チケットを利用した後、本部で精算しようとしたら一部が消えていた
　（片付け中に見つかった）
・撤収作業も時間がかかりすぎて、300字企画さんへの継続頒布の提出が間に合わなかった
　（後日郵送することになりました）
・れぼんちゃんぬいぐるみと新刊を並べて写真を撮るのを忘れていた
　（そのために作ったはずなのに……）
相当疲れていたんでしょう。
関係各所の皆様本当に申し訳ありませんでした。
いくらその日の朝に飼い猫様（まだゼロ歳）がおやつを盗み食いする事件を起こしたからって、そっちを愚痴ってる場合じゃなかった。

コスプレいいなあ。隣の浮草堂美奈さんの学ラン男装姿はかっこよかった。
自分は昔働いてた会社から支給されたツナギを着てました。誰の格好とかいうわけでもなくむしろ設営での安全を意識した感じで。
前半は袖を通さず上半身半袖スタイル、後半は完全に着込んでいたんですが、後者でも過ごせる程度には冷房が機能していたようです。

さて、会場内では「最低限これだけはここで買いたかった」と「お買い物チケットを手に入れたのでその範囲で欲しいものを買う」のために、そして忘れ物を引き取ったり提出したりするために、何度かヒットアンドアウェイみたいな動き方をしていました。
なぜなら店番がいないから。
テキレボは非常に忙しい。
頒布物が1～2種じゃ済まない場合、あるいは絶対欲しい本や参加したい企画がある場合、ワンオペは絶対やめた方がいい。

しかしいいこともあったんですよ子猫様。

化屋ブースの売り上げ記録更新。

主に鈍器のおかげと思われますが、一番出たのは『化屋ブースの裏側レポート』でした（打ち上げでの行商もどきも貢献。ダブル猫強い）。
準新刊のルート140(3)はそこそこ、既刊はちょっとずつ動いてくれた、その辺は割と化屋らしい動きでした。
でも数の多寡より、知り合いと呼べる関係ではない人が「一冊ください」と言ってくださるようなものを頒布できたこと、そこを素直に喜びます。

懇親会～打ち上げ一次会にも参加しましたが、ものすごくエネルギー消耗しました。調子に乗ってしゃべりすぎました。ここでも子猫様強かった。

消耗したエネルギーを取り返しきれてないので寝ます、と宣言して今回のレポートは終了します。


次回？テキレボ８？
参加するとしたらルート１４０の次が出せる、ぬいぐるみも新作出したい、やれるなら猫マップ作りたい、原稿に追われない分PRに力を入れたい……
思い浮かべることは多いのですが、正直、未定です。

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「Re:」

Twitter300字SS 第四十四回参加作品
お題「約束」
#Twitter300字ss

ジャンル：オリジナル

注意書き：メンタルが弱っていそうなときには読まない方がいいタイプの話かもしれない。




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私は二度と貴方の前に現れないと約束します。
もう探さない、メールもしない、ＳＮＳも調べない。
そう書いたけどつい期待する私は未だ軟弱だ。
赦してくれとは思ってないし貴方はきっとそうしない。
私の何が悪かったのかやっと認識できました。
私は貴方を傷つけた上、周りの人も苦しめた。
自分にとっては真剣だった未熟な思いを押しつけて。
理由を言えば独りよがりと一笑に付すことでしょう。
貴方の心を掴みたかった、何より愛が欲しかった。
私のことは忘れてほしい。でもこれだけは伝えたい。
今も私は貴方と共に過ごした日々が懐かしい。
幸せだったあの頃に戻れるものなら戻りたい。


今日もまた書いてしまった。
辛うじて送信キーは押さずに止めた。


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誰宛とか誰を意識したとか、そういうのじゃないです。
こういうことを言いたい相手が自分にはたくさんいる、そういう話です。失敗ばかりの人生だからね！


えー、今回は「300字SSのフォーマットの中に違うフォーマットを入れる」をテーマに書いてみました。
前半の段落を下の行から順に読むと時間軸が変わる、というのが一つ。
もう一つは普通に読むだけでピンときた人もいるかもしれませんし、音読することで気づく人もいるかもしれません。

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