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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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Twitter300字SS 第五十九回参加作品

お題「窓」
ジャンル:オリジナル、(1)とある普通の世界の話 (2)とある不思議な世界の話
注意書き:特になし



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 今朝も隣家の夫婦げんかで目が覚めた。その辺のアラームより強力だけど毎日聞かされるのはつらい。
 うんざり気分で外に出たら、近所の少年がボールを抱えて立っていた。と思ったら突然それを軽く放り、蹴った。
 ボールは問題の家の塀を越え、開いていた二階の窓へ飛び込んだ。
 ナイスゴールなんて感心している場合じゃない。
「何してたの」
「うちの庭に飛んできたから返してあげた」
 確かにあの窓からはよくいろんなモノが外に投げ捨てられている。
 思わぬ形で持ち主の元に戻ったボールはどうなったのか。見上げたとき、うるさかった怒鳴り声が一切聞こえてこないことに気づいた。

 次の日から少し声のボリュームが落ちた。
 あの窓は固く閉ざされていた。

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 町の薬屋の朝は早い。受付嬢が出勤してきたとき、薬師たちは仕込みを終えて開店準備中だった。
 ところが新入りだけは窓枠に座って釣り糸を垂らしていた。足元に水はないし、風に揺れる糸の先には葉っぱが一枚。
「これが今日の仕事」
「何をつかまえるの?」
「釣れるまでのお楽しみだって」
 先輩の嫌がらせのようにも見えるが、彼らは意外な方法で意外な素材を集めてくることも多い。後者だと信じたい受付嬢、こっそり薬師のひとりに聞いてみた。
「食いつく姿を想像しちゃダメなのね。頭を空っぽにしないと釣れないのね」
 意識するほど釣果は遠のく。だから前情報なし。
 ならしょうがないと答えたが、窓辺の寂しそうな背中がやっぱりかわいそうだった。

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外から見る窓と、中から見る窓。

RWC決勝戦のペナルティゴールを見て思いついたのが一作目。
でも薬屋さんシリーズも書きたかったのでもう一つ。
何故か今日はインターネット回線が切れがちで投稿が危うかったけど、間に合った!
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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