Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
化屋の日。サイト開設19周年。
いつもと違うことがしたくなったので、久々にカフェパ組のSSを書いてみました。(日付変わってしまいましたが)
もしも彼らの家に、最近噂のポケモンが現れたら。
いつもと違うことがしたくなったので、久々にカフェパ組のSSを書いてみました。(日付変わってしまいましたが)
もしも彼らの家に、最近噂のポケモンが現れたら。
シンオウ地方、ハクタイシティのはずれに広い一軒家がある。
人とポケモンが仲良く暮らしている光景はこの世界のどこに行っても見られるものだが、ことこの家に限っては少しばかり様子が違っていた。
詳細は省くが、ここで共同生活を営む人々は「人間」ではないのだ。
冬の寒さが和らいできたある日の朝、地下階の方から悲鳴が聞こえてきた。
すでに目を覚ましていた住人たちが驚いて駆けつけると、階段の下にツナギ姿の女が座り込んでいるのを見つけた。地下室で暮らしている機械技師のニーナだ。既に目から涙が溢れており、仲間に呼びかけられていることに気づくと、震える手で地下室を指さした。
「な、なにかが、います……」
「はい?」
キュウコンのマックスが寝ぼけ眼のまま室内をのぞき見た。その上に被さるようにして、ダーテングのシイナ、この家の女主人エリーとその秘書ハッサムが身を乗り出した。
開けっ放しになった扉の向こうはひどく散らかっていた。ニーナの几帳面さを知る住人たちは揃って首をひねり、中に入って一層驚いた。
作業机に置かれていた工具や小型機械が軒並み破壊されていた。
より正確に言えば、ドリルやネジを始めとした金属の部品がごっそりと消え、または抜き取られていたのだった。
「いったい何の実験してたらこんなになるんだ」
「それは違います」
マックスに尋ねられ、ニーナの助手をしているズガイドスの青嵐(あおあらし)が首を振った。
「私と彼女は昨夜遅くまで義体の定期メンテナンスを行っていました。その後仮眠を取っている間に、こんなことに」
「誰かが盗みにでも入ったってのか、この場所に。他になくなっているものは?」
「そうですね……あっ、そこに置いていた修理中のアームは無事ですか!?」
「アーム?」
一同はニーナが指した方を見たが、そこには「腕」と呼べそうなものはない。右手だけの長いゴム手袋のようなものが残されているだけだった。
「成る程、外骨格だけを吸い出して持ち去ったという訳か」
「え」
現場検証のメンバーが一人増えていた。
地下室の奥に鎮座するマシンが内側から開き、中から長髪の男、サーリグが出てきたのだ。彼が手袋の指先をつまみ上げると、中からケーブルの束やら歯車やらが転がり出てきた。
仲間たちがその中身の正体を悟ったとき、まばゆい火花が辺りに散った。
いつの間にかサーリグの手に黒い棒が握られていた。その先端から三日月型の刃が二枚飛び出すや、その先端から光が発せられ、稲妻となって部屋のあちこちに落ちた。
「おいおいおい何してる!?」
「いきなり全体攻撃だなんて穏やかではない……あ、もしかして」
光が収まった後、その一筋が落ちた場所で物音がした。
一同の注目が集まる中、棚の影から丸い物体が転がり出てきた。それは透明な素材でできた大きなカプセルと、その中に入っている、金属の光沢を持った奇妙な生き物だった。
「やだ、この子知ってる! メルタンでしょ、テレビでやってた!」
エリーが嬌声を上げた。
すると室内の他の場所でも物音がして、やはり同じようなカプセルが転がり出てきた。どれも中にはナット型の頭と不定形の胴体を備えたポケモンが入っていた。
「最新の論文に拠れば、触れた金属と同化し自身の中に取り込む性質を有するという。破壊された品はどれも此奴の腹に収まったようだ」
「だから金属の部品だけがなくなっていた、と……」
ハッサムがカプセルの一つをつまみ上げると、中にいるポケモンがじたばた暴れ始めた。すると他のカプセルでも、中から体当たりして壊そうとしたり、あるいは不思議そうに外を見上げたりするものが出てきた。しかし、
「既に取り込んだ物を吐き出せとは言わん。だが代償はその体で支払ってもらう」
サーリグの放った一言で全個体が一斉に凍りついた。ハッサムまで一歩引いてしまったが、言った本人は意に介さず、まだ廊下で動けずにいた技師へ顔を向けた。
「いつまで座っている。隣の部屋を調べろ、そこにも同様の生体反応があった。それと貴様らの提携先の研究所にも連絡してやったから直に引き取り手が来る、出迎えてやれ」
「は、はい!」
黄金色の目に睨まれたニーナと青嵐が身震いし、競うように廊下へ出て行った。指示の後半を聞いたエリーも血相を変え、こちらは階段を駆け上がっていった。
その場に残ったマックスとシイナは顔を見合わせた。
「兄貴がマジギレしてるとこ久々に見たんだけど」
「まあ自分の腕食われたらそりゃ怒るわな」
「だからっていきなり魔術とスキャンモードと邪視(イヴィルアイ)総動員して発見即捕獲って。誰だ『最近は無気力で人畜無害な隠居ジジイだから』って言った奴」
「何か言ったか」
「「いえ何も!!」」
その夜、どこかのヤミラミが、フェアリーポケモンに囲まれ袋だたきに遭う悪夢にうなされていたとかいないとか。
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あるCMを見て思いついたネタです。
最近全くこの手のストーリーを組み立てられなかったのに、「彼の怒り」を起点にしたらあっという間にプロット仕上がってました。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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