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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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Twitter300字SS 第四十九回参加作品

お題「灯す」
ジャンル:オリジナル、とある二つの世界の話
注意書き:特になし

11月は参加できなかったので2ヶ月ぶり。というわけで今回は1時間で2本書きました(後半は先月のお題「霧」も使いました)。
冬の迎え方も年月の感じ方も、不思議との出会い方も、人それぞれです。

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「ランタンと歌声」

野菜で作った色とりどりのランタンを手に、子供たちが目抜き通りを行進している。
窓辺に立っているだけで寒さが身にしみるほどだ。彼らはもっと寒いだろう。それでも楽しそうに笑うから、ついこちらも笑顔になる。
山間の村が厳しい冬を乗り切るため、あえて冬の妖精を歓待したという儀式が形を変え、今は楽しい行事として国じゅうに定着した。

ランタンを作ろう。あの子を迎えに行こう。
古い歌を口ずさみながら瓜の中身をくりぬいていた娘の背中を思い出した。
今頃どうしているだろう。あの日の私たちがそうしたように、我が子のランタン作りを見守ったのだろうか。危なっかしい手つきにはらはらしたのだろうか。
遠い街からの便りは今日も来ない。

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「幻の列車」

それのヘッドライトが霧を裂いて現れたときは、驚くあまりシャッターを切ることを忘れていた。
こんな天気なのに列車を走らせるなんて。目を疑い鉄道会社を疑ったが、すぐどうでもよくなった。僕らの前を通り過ぎていった先頭車両はとうの昔に廃れ、静態保存ですら残されていないはずの。
顔を見合わせた僕らがその形式名を口にした瞬間、汽笛の音がすべてをかき消した。
身をすくめてからもう一度見上げると、何両も連なった客車が僕らの前を通り過ぎるところだった。慌ててカメラを構え直したときにはすべてが霧の中へ消えていた。

あの列車は何だったのか。
明かりが灯る客車に見えたいくつもの影はいったい誰だったのか。
答えは未だに分からない。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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