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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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カフェパ話。

1月は連続して、荒れ狂う彼女の話を書いてきた。
が、多分“表”で進展がない限りこのままぐるぐると同じところを回っていそうなので、続きを書けなくなってしまった。
(身内だけで物事を片付けるのは何か違う気がしている)
しかし他のことを書き出せる余裕がないまま時間がたち、気がついたら3月になっていた。

今夜は幸いにも時間を作れた。
どうせなら、長いこと彼女の話と同時進行しつつ“裏”側をほとんど語っていない、あの怪しげな連中の話をしよう。

--------------------

 聖なる森の祠から見てやや南西。
 かつてカフェのオーナーが暮らしていた家、今は焼け跡も片付けられ空地となったその場所の地下深くに、彼の“秘密基地”は隠されている。一見適当に、しかし綿密な計算の元に配置された廃材やがらくたは、地上を歩く者には密かに埋められた入口へ視線が向かないよう仕向けると同時に、島へ出入りする様々な “不思議な存在”がもたらす霊的・魔術的・ポケモン学的干渉を自然に退ける結界を形成していた。
 故にその場所はほとんど誰の目にもとまらず、誰の耳にも拾われず、もちろん地図にも載らない。


 そんな秘密の部屋に今、1人の人間が立っている。
 上から下まで黒い服、その首から足下までを覆う黒いマント。頭には同色のとんがり帽子。無機質な曲線でスマイルを刻んだ仮面で顔を覆い、首筋は無造作に切られた黒髪で隠されている。とにかく素肌が見えないが、彼は確かに人間である……と言われていた。

「勘違イしないでヨ? ボクはれっきとシた一般人ダからね?」
「師匠、そんなことは誰も気にしていないと思います」

 抑揚の足りないツッコミを入れたカラカラは、床に積み上げられた怪しげな書物に埋もれるようにして座っている。トレーナーとおそろいの帽子は頭蓋骨の上ではなく、本の山の頂上を飾るように置かれていた。

 その辺のゴミ捨て場から拾ってきたのかもしれないがらくたの数々が、ランプの弱い明かりを浴びて壁にいびつな影を作り出す。

古びたテーブルに並べられた数十個の青い石。そのうちの二つに浮かび上がる文字。
今この部屋にいるのは彼らだけではない。周囲に漂う無数の文字。
石の一部を譲渡したとき、結界を張り巡らせた本当の理由。
相手の次の狙いとして考えられるもの。
拾われる気配のなさそうな伏線。
身内以外の戦力の予想。
次の一手。

「この変種アンノーンに類似した形状を持つ文字ですが、現代において記号として一般的に用いられるものが24種類。言語の一部として例外的な使われ方をする古い文字も含めると30種類が存在するとのことです」
「じャあ、アイツらにもそれクらいのバリエーションがアるんダね」
「資料ごとにばらつきがありますが、24より多いことは間違いありません。彼らが生まれた世界と時代を特定できれば総数も確定できると思いますが、残念ながらフェザーリングに考古学の専門家はいませんから、調べようがありません」

 奇怪な“記号”が壁に貼り付き、宙に浮かび、テーブルに投影される部屋の中。
 飛び交う電波の下で師弟は語り合う。

「他に分かッてるノは島を壊す気満々だッてコトと、遺跡の奥ニ何が何デも立ち入らセないコトだッけ?」
「ポケモンバトルをしたがっている、という点も重要かと」
「問題はソコなんダよねェ。ボクッてバトル苦手だしー、そもそも手が足りナいしー、ぶッちゃけ同じ対戦カードばッかりでマンネリ入ッてるシ」
「そう言って微妙に距離を置き続けた結果が今です。聞けば彼らの封印が解かれてから丸一年が経過したそうじゃないですか」
「その間ホントに島壊させなかッたんダから上出来じゃナイ?」
「単にぐだぐだと引きずっているだけにしか見えませんが。あちらもそろそろ膠着状態を脱したいのではないでしょうか」
「まァまァ、そんなコト言ッてたらキリないヨ。そレに……」

 突如、マントが踊るように翻って、

「隣は隣で、ナンだか大変なコトになッてるし?」
「あれは私たちの担当ではありません。朱月さんに任せるようにと本部長からもきつく言われたではありませんか」

 仮面の男が関心を寄せたのは壁の向こうのことだ。
 彼の記憶が正しければ、隣の部屋には一人の少女が眠っている。彼女をそこまで連れてきた幽霊が今なお付き添っているはずで、その状況が変わらない限り、この怪しげな魔術師が少女に手を出せる可能性など万に一つもなかった。
 たとえ、今ここで師弟が議論していた話題に彼女もまた関わっているとしても。

「今は、これの件以上に大きな問題が、アテナさんやそのお友達の皆さんを翻弄しているそうです。私たちは部外者でしかない。……気にするのは、実際に助けを求められてからにしませんか」

 弟子はゆっくりとページを繰った。

「そウだね」

 師匠は手に取った石を無造作にテーブルへ転がした。

「ボクらは自分ノ仕事をシよう。……アイツらはボクの行動の意図ヲちゃんと見抜けテないんだ、マだ余裕はあルよ」


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日常生活は落ち着いてきた、カフェパでは何をしてもあまりうまくいかない。
疑う空しさはふくれあがるばかりで破裂の気配なし。

今月と同じようにテンション下がる一方で、つらいのでアップテンポの音楽で強引にテンションを上げながら書いてみたのが冒頭部分。
下書きには1/28とあった。

そして『その部屋』に来客があった3/22の翌日に、ようやく加筆と続きを書き出せた。遅いよ。
復讐劇に関与する余地などほとんどなさそうなフェザーリングの面々ですが、多分、頼まれたら貸すでしょうね。
幽霊の手でも鶏の目でも、面白い道具でも。何しろ人助けこそが彼らの仕事なので。
(↑この辺はもしかしたら朱月がアテナに話してるかもしれない。基地に泊めた時にでも。)


ちなみにタイトルは「何が起きてるんだ?」「一体どうなってるの?」という意味。
カオスな場面でそのまま使えるとても便利なフレーズです(…
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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