Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
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カフェパ話。
一つの山は越えたけれど、決着は持ち越しとなった。
次にすべきは何だろう?
一つの山は越えたけれど、決着は持ち越しとなった。
次にすべきは何だろう?
----------
響音家の客室の一つ。結局、昨日までと変わらない場所で。
ベッドに横たわるリスタは枕を真っ黒に濡らしていた。
思い返せば、今までは「すべてが意図的に仕組まれていた」ことを前提に考えていた。そうでなければ理解できないこともあったし、自分が今まで信じてきた考え方を否定する上で、偶然の要素を入れることはかすかな甘えにしがみつくことのような気がしたからだ。
だからここで改めて考える。
もし、“あれ”が本当に打ち合わせのない、その場その場の判断が積み重なった結果だったとしたら?
カフェでの会話があった後、言われた言葉で頭がいっぱいになっていた彼女は、自分でも気がつかないうちに琴牙たちに連れられ「帰ってきて」いた。ここを出て行くチャンスをうっかり逃したことに気づいたのは中へ入ってからで、しかし夜も遅いし自分は疲れ切っていることも自覚している。仕方ないので悔やむことを諦め、せめて世話を焼こうとする声には固くお断りを入れて一人部屋にこもった。
着替える気力も失ったままベッドに倒れ込んだのが深夜。
涙腺が枯れたのが未明。
目元と頬を黒く染めた原因に思い至ったのが早朝。
もし、“あれ”が本当に偶然の、成り行きが導いた結果だとしたら?
その結果は誰も予測できなかった、本当にどうしようもないことで……でも、それが終わった後でさえあれば、もっと早く気づけても良かったことじゃないのか?
それこそ一年前に。
自分があの事件の夜、封鎖した道の上で一所懸命に張り上げていた声が、実は誰にも聞こえていなかったことを知ったときに。
「私は……誰と、戦おうとしたんだろう……」
不自然な色の汚れを誰も気にかけず、「これは何?」などと聞いてこないのをいいことに。
彼女は再び枕に顔を埋めた。
屋敷の住人たちが活動を始めて、自分を叩き起こしに来る、その時まで。
「へ~ェ、あの時の娘んとこにいるんだ。世の中狭いなァ」
とある山中。小さな洞窟の奥。
拾ってきたとおぼしき懐中電灯の明かりの下、2匹のカクレオンが酒を酌み交わしている。片方はオレンジのバンダナを首に巻き、姿勢良く座っている。もう一方は既にかなり飲んでいるらしく体がほんのり赤い。やはり拾いもののマットの上に寝そべる後者こそが洞窟の主だった。
「やはりお前だったのか……大酒飲みのカクレオンに偵察を頼んで地図を作らせた、と聞いた時にはまさかと思ったが」
「それ、誰から聞いた?」
「ナイツ……お前に偵察を依頼したヤミラミからだ」
「あーはいはい、あの弱っちい奴ね」
酔っぱらった方がケラケラ笑う。バンダナの方は少しだけ憐れみを表情に浮かべたが、すぐ真顔に戻った。
「当時のことは覚えているか?」
座り直して投げかけた質問が本題であるらしい。
真剣な眼差しを受け、家主もようやく居住まいを正した。
「忘れもしないさ。あーんな狭いとこに閉じこめられて、酷い仕打ち受けてたんだぜェ。これだから人間て奴は、ってェ思ったもんよ」
そして彼は饒舌な口で語り出した。
壊れた人間たちにまつわる古い記憶――かつて請われて手を貸した救出劇の一部始終を。
「ンで、兄さんは何でそんな可哀相な娘の手持ちになんてなったんだい」
「話せば長くなるぞ?」
「ヒャハハ、上等上等。酒の肴になるんなら何だっていい」
「……本当に、お前は変わっていないな」
----------
illusionは「幻」や「空想」と単純に訳した形で使いがちだが、「錯覚=現実を誤って知覚すること」という意味を中心に持つ点がfantasyやimaginationと異なる。
つまり、誰にでも起こりうる勘違いのこと。
ちなみに前回までのタイトルだったbawlは「叫び、わめき声」。
後半の登場人物については資料集移管済のSS「RE-BUILD」を参照。
響音家の客室の一つ。結局、昨日までと変わらない場所で。
ベッドに横たわるリスタは枕を真っ黒に濡らしていた。
思い返せば、今までは「すべてが意図的に仕組まれていた」ことを前提に考えていた。そうでなければ理解できないこともあったし、自分が今まで信じてきた考え方を否定する上で、偶然の要素を入れることはかすかな甘えにしがみつくことのような気がしたからだ。
だからここで改めて考える。
もし、“あれ”が本当に打ち合わせのない、その場その場の判断が積み重なった結果だったとしたら?
カフェでの会話があった後、言われた言葉で頭がいっぱいになっていた彼女は、自分でも気がつかないうちに琴牙たちに連れられ「帰ってきて」いた。ここを出て行くチャンスをうっかり逃したことに気づいたのは中へ入ってからで、しかし夜も遅いし自分は疲れ切っていることも自覚している。仕方ないので悔やむことを諦め、せめて世話を焼こうとする声には固くお断りを入れて一人部屋にこもった。
着替える気力も失ったままベッドに倒れ込んだのが深夜。
涙腺が枯れたのが未明。
目元と頬を黒く染めた原因に思い至ったのが早朝。
もし、“あれ”が本当に偶然の、成り行きが導いた結果だとしたら?
その結果は誰も予測できなかった、本当にどうしようもないことで……でも、それが終わった後でさえあれば、もっと早く気づけても良かったことじゃないのか?
それこそ一年前に。
自分があの事件の夜、封鎖した道の上で一所懸命に張り上げていた声が、実は誰にも聞こえていなかったことを知ったときに。
「私は……誰と、戦おうとしたんだろう……」
不自然な色の汚れを誰も気にかけず、「これは何?」などと聞いてこないのをいいことに。
彼女は再び枕に顔を埋めた。
屋敷の住人たちが活動を始めて、自分を叩き起こしに来る、その時まで。
「へ~ェ、あの時の娘んとこにいるんだ。世の中狭いなァ」
とある山中。小さな洞窟の奥。
拾ってきたとおぼしき懐中電灯の明かりの下、2匹のカクレオンが酒を酌み交わしている。片方はオレンジのバンダナを首に巻き、姿勢良く座っている。もう一方は既にかなり飲んでいるらしく体がほんのり赤い。やはり拾いもののマットの上に寝そべる後者こそが洞窟の主だった。
「やはりお前だったのか……大酒飲みのカクレオンに偵察を頼んで地図を作らせた、と聞いた時にはまさかと思ったが」
「それ、誰から聞いた?」
「ナイツ……お前に偵察を依頼したヤミラミからだ」
「あーはいはい、あの弱っちい奴ね」
酔っぱらった方がケラケラ笑う。バンダナの方は少しだけ憐れみを表情に浮かべたが、すぐ真顔に戻った。
「当時のことは覚えているか?」
座り直して投げかけた質問が本題であるらしい。
真剣な眼差しを受け、家主もようやく居住まいを正した。
「忘れもしないさ。あーんな狭いとこに閉じこめられて、酷い仕打ち受けてたんだぜェ。これだから人間て奴は、ってェ思ったもんよ」
そして彼は饒舌な口で語り出した。
壊れた人間たちにまつわる古い記憶――かつて請われて手を貸した救出劇の一部始終を。
「ンで、兄さんは何でそんな可哀相な娘の手持ちになんてなったんだい」
「話せば長くなるぞ?」
「ヒャハハ、上等上等。酒の肴になるんなら何だっていい」
「……本当に、お前は変わっていないな」
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illusionは「幻」や「空想」と単純に訳した形で使いがちだが、「錯覚=現実を誤って知覚すること」という意味を中心に持つ点がfantasyやimaginationと異なる。
つまり、誰にでも起こりうる勘違いのこと。
ちなみに前回までのタイトルだったbawlは「叫び、わめき声」。
後半の登場人物については資料集移管済のSS「RE-BUILD」を参照。
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HN:
Rista
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性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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