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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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続きの続き。

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 結局、彼女が巳琴に対して出来たのは、「その日のうちに買い物へ行こうとする」のを止めることだけだった。
「……まだ、行かれない……」
 言葉にした意見はこの一言だけで、これを周囲は「心の準備が出来ていない」という意味と解釈したらしい。とりあえず一日は空けることになり、その間に改めて検討を、ということになった。
 ちなみに琴牙も何か言い足りなさそうにしていたが、こちらはアーメスタが止めた。我が道を行くトレーナーたちと異なり、全部の要求を呑んでいたら話が先に進まないことをこのミロカロスはよく理解しているようだった。



 翌日。

 古都エンジュシティを歩いていた僧侶の一人が、これまで遭ったことのない異質な存在の気配を感じて足を止めた。
 大通りの正面からこちらへ向かってくる二人連れの女。一方は見るからに浮き立っていて、もう一方の手を引いてどこかへ連れて行こうとしている。次の店がどうのとか言っているので、どうやら買い物の途中であるらしい。
 すれ違う瞬間に確信した。気配の発信源は後者だ。

 後ろ髪を束ねる大きなリボンに隠れてはいたが確かに見えた。
 人間が持っているはずのない構造(もの)が……

 振り返ったときにはもう、それは遠ざかっていた。呼び止めることも追うこともかなわない。買い物を心の底から楽しんでいるらしい、主導権を握っている側のはしゃぐ声だけが残響となって散りゆくところだった。
 僧侶はその場に立ち止まったまま思い返す。
 不思議な女がこちらを見返してきた一瞬の表情を――助けを求めているようにも見えた、その目を。



 その翌日。

 人の姿をした怪物は決断した。
 今一度の対決を。

 今度こそ、本物の舞台で。


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6/1のお話を軸に。

「浮かれる」と「浮き立つ」はイコールだけど「浮き足立つ」は違う言葉である。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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