Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
続き。
5月末で一区切りをつける。
5月末で一区切りをつける。
----------
もふもふに埋もれて窒息死しそうになる夢を見た。
それが琴牙のせい……いや教育の賜物なのか、隣でそういうポケモンが寝ていることを気配で感じ取ったためなのかは、今となっては分からない。
額に黒い汗をにじませながら飛び起きた彼女は、深く息を吸い込み、叫びそうになった自分を押さえつけた。それでも息苦しさが抜けないのでベッドを降りる。カーテンのあるあたりが明るくないので夜明け前だと一目で分かった。
開け放った窓から身を乗り出し、夜風を浴びてようやく落ち着きを取り戻した。
(いつまでこんなことしていればいいんだろう……)
真下に広がる暗闇に強く惹かれる。
確かそこには地面があるはずだ。今の自分ならここから落ちても多分死なないだろうとは確信できる。しかし何の障害もなく逃げ出せるとも思えず、飛び降りることはためらわれた。
怒りはしないが理由も聞かない、ただ機械的に連れ戻すだけの「誰か」が物陰から出てくることを想像してしまった自分に舌打ちして。
(……結局、苦しむのは私一人なのね)
能天気な住人に囲まれる心休まらない一日がまた始まることを、彼女は一人憂えていた。
「ええとな。あんさんが行きたい日でええから、本物のカフェパーティに一度行ってみるか?」
お節介な集団の一員であるミロカロス、アーメスタに声をかけられたのは、それからほとんど眠れないまま迎えた朝食の席でのことだった。
寝不足というより憂鬱を引きずったままの頭にはどうしてそういう話になったのか理解できなかった。わざわざ「本物」と前置きするからにはこの前とは違う場所なのだろうが、念のため他の可能性も考えてみる。
だが、程なく思考は停止してしまった。
「一緒に行く前提やけど、許可もだすしな。ソラはんから回答ももらえるかもな。」
「ソラ……」
思わず復唱していた。
その名前に覚えがないはずもない。
黒い霞。
黒い影。
何かをささやく記憶。
一度じゃない――何度も、呼びかける声。
最悪の事態から力ずくで引き上げはするけれど、「その先」へ進もうとした時にはいつもいなくなっている、その手を忘れるはずもない。
自分がここに連れてこられる直前にも行き会った人物の名が、どうしてここで出てくるのか。当然思い至るべき一つの可能性に彼女は結局たどり着けないまま、
「あんさんが行きたくないならそれはそれでええけど。あ、行くとしても暴れんといてや?危ないのは好きやないし。」
話は先に進んでしまう。
「あら、だったらちゃんとおめかししないといけないわね!!」
しかも巳琴が口を挟んできた。
「なんでそうなるんや…。」
「いいじゃない。そうねぇ、夜でしょ?夜はまだ寒いし…浴衣には早いかしら。あ、でももう夏もすぐそこだし…浴衣一緒に買いに行く?エンジュシティにいい着物とか浴衣を売ってるお店があるのよ~。どうかしら?」
「………………」
一人で話を進めた上、すっかりその気になって舞い上がっている。
アーメスタはというと、長い耳のようにも見えるヒレで怪物の肩を叩き、こう呟くだけだった。
「巳琴姐さんは、わいには止められん。あきらめなはれや。」
ポケモンたちも弟の琴牙もそれは同様らしい。巳琴を止めに入る者は皆無だった。
当事者でさえ当然のように口を挟めないまま、その席での提案はそのまま決定事項になってしまった。
全身に残る一月前の火傷の痕、無数の亀裂として刻まれた無謀の跡が何故か、ちりちりと痛んだ。
----------
5/30~31、つまり「ちょっと呼んでこい」という話になった日の裏。
今日中にもう一本、続きを書く予定。
別に悲劇のヒロインを狙ってたわけではない。
ヒーローたちに倒される役回りのつもりが何故こうなった。
もふもふに埋もれて窒息死しそうになる夢を見た。
それが琴牙のせい……いや教育の賜物なのか、隣でそういうポケモンが寝ていることを気配で感じ取ったためなのかは、今となっては分からない。
額に黒い汗をにじませながら飛び起きた彼女は、深く息を吸い込み、叫びそうになった自分を押さえつけた。それでも息苦しさが抜けないのでベッドを降りる。カーテンのあるあたりが明るくないので夜明け前だと一目で分かった。
開け放った窓から身を乗り出し、夜風を浴びてようやく落ち着きを取り戻した。
(いつまでこんなことしていればいいんだろう……)
真下に広がる暗闇に強く惹かれる。
確かそこには地面があるはずだ。今の自分ならここから落ちても多分死なないだろうとは確信できる。しかし何の障害もなく逃げ出せるとも思えず、飛び降りることはためらわれた。
怒りはしないが理由も聞かない、ただ機械的に連れ戻すだけの「誰か」が物陰から出てくることを想像してしまった自分に舌打ちして。
(……結局、苦しむのは私一人なのね)
能天気な住人に囲まれる心休まらない一日がまた始まることを、彼女は一人憂えていた。
「ええとな。あんさんが行きたい日でええから、本物のカフェパーティに一度行ってみるか?」
お節介な集団の一員であるミロカロス、アーメスタに声をかけられたのは、それからほとんど眠れないまま迎えた朝食の席でのことだった。
寝不足というより憂鬱を引きずったままの頭にはどうしてそういう話になったのか理解できなかった。わざわざ「本物」と前置きするからにはこの前とは違う場所なのだろうが、念のため他の可能性も考えてみる。
だが、程なく思考は停止してしまった。
「一緒に行く前提やけど、許可もだすしな。ソラはんから回答ももらえるかもな。」
「ソラ……」
思わず復唱していた。
その名前に覚えがないはずもない。
黒い霞。
黒い影。
何かをささやく記憶。
一度じゃない――何度も、呼びかける声。
最悪の事態から力ずくで引き上げはするけれど、「その先」へ進もうとした時にはいつもいなくなっている、その手を忘れるはずもない。
自分がここに連れてこられる直前にも行き会った人物の名が、どうしてここで出てくるのか。当然思い至るべき一つの可能性に彼女は結局たどり着けないまま、
「あんさんが行きたくないならそれはそれでええけど。あ、行くとしても暴れんといてや?危ないのは好きやないし。」
話は先に進んでしまう。
「あら、だったらちゃんとおめかししないといけないわね!!」
しかも巳琴が口を挟んできた。
「なんでそうなるんや…。」
「いいじゃない。そうねぇ、夜でしょ?夜はまだ寒いし…浴衣には早いかしら。あ、でももう夏もすぐそこだし…浴衣一緒に買いに行く?エンジュシティにいい着物とか浴衣を売ってるお店があるのよ~。どうかしら?」
「………………」
一人で話を進めた上、すっかりその気になって舞い上がっている。
アーメスタはというと、長い耳のようにも見えるヒレで怪物の肩を叩き、こう呟くだけだった。
「巳琴姐さんは、わいには止められん。あきらめなはれや。」
ポケモンたちも弟の琴牙もそれは同様らしい。巳琴を止めに入る者は皆無だった。
当事者でさえ当然のように口を挟めないまま、その席での提案はそのまま決定事項になってしまった。
全身に残る一月前の火傷の痕、無数の亀裂として刻まれた無謀の跡が何故か、ちりちりと痛んだ。
----------
5/30~31、つまり「ちょっと呼んでこい」という話になった日の裏。
今日中にもう一本、続きを書く予定。
別に悲劇のヒロインを狙ってたわけではない。
ヒーローたちに倒される役回りのつもりが何故こうなった。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
プロフィール
HN:
Rista
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
最新記事
(09/23)
(07/21)
(07/20)
(04/06)
(03/02)
カテゴリー
最新コメント
[11/22 Terzimkeos]
[11/20 Flezenita]
[11/20 PerikalRuind]
[11/20 MelaceLed]
[11/19 Cartucke]
ブログ内検索
リンク