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Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。


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続き。
受け身のような形で書いていくことに疲れてきた。

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 かろうじて人の形を保っている怪物は、自室の一角に置かれた鏡をじっと見つめている。
 フリル付きのブラウスや何層ものレースを裾に重ねたスカートはもちろん、頭の角に結びつけられたリボンも巳琴が選んでいったものだ。普通の人間には存在しない2本の異物について何か言ってくる者は今のところ誰もいない。何か思うところがあって避けているというよりは、本当に全く気にしていないのかもしれなかった。

 彼女が響音家に迎えられてまもなく1ヶ月を迎える。
 前半、一家挙げての演技によって十分すぎるほど募らせていた不信感は、その後の時間の経過に従ってほんのわずかだが和らげられていた。しかし一家と親しくなったかといえば案外そうでもない。彼らの言動は彼女がそれまで見てきた世界からは想像も出来ないことばかりで、どうしてそんな話になるのか、未だに理解できず困惑することが多々あった。
 過剰にしか見えないスキンシップを見せつけるだけでなく、自分にもそうするよう要求してくる人間たち。
 それを心から喜び、その距離感を当たり前だと思っているポケモンたち。
 自分流で接していれば必ず自分たちと同じ色に染まるはずだと誰もが固く信じて疑わないらしい。それは常識外れに広い家や金銭的余裕がもたらす心の余裕か、それとも居を構える一族が築き上げてきた伝統なのか。
 あるいは、その考えが常に通用する場所でしか生きてこなかったためなのか。



 シオンタウンに静かな雨が降った夜。
 彼女は庭を一人歩いた。何も持たず、靴も玄関先へ置き去りにして。

 案の定、外へ出たことを察した誰かが追いかけてきた。足音はすぐに真後ろまで追いつく。逃げるつもりはなかったが、すぐ戻るように言われると、手を掴んできた手を振り払わずにいられなかった。
「放っておいてよ。敷地から出なければ逃げたことにはならないでしょう?」
 突き放すように言うと、せめて傘を、と勧められた。不満よりは心配が声音から伝わってくる。
 そんな親切心を断ることに躊躇はなかった。
「何を今更」
 彼女は屋敷に背を向ける。
「理解できなくていいわよ。私が何故こうしてて、何を感じているかなんて、どうせ興味ないんでしょうから」

 目を閉じて雨粒を浴びる。
 相手が何か言ったが、聞こえないふりをした。


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好みの違いを分かり合うのは難しい。

同じPLの手の上にあっても、個々のキャラクターはそれぞれ違った考えを持つ。
彼女のPTにしろ、本部の面々にしろ、意見が対立したり無関心だったり諦めムードだったりするために、方針がまとまらない。
(根底に何がしかの共通点はあるはずなのに)
その辺をうまくすりあわせて一つの「話」にしていくのはもっと難しい……と思う。
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自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。

ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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