Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
続き。
今年の一言アンケートの回答数を見ていると、不安になることがある。
原因はいくつか考えられるんだけど……まさかうまく表示されてないから、なんてこと、ないよね……?
今年の一言アンケートの回答数を見ていると、不安になることがある。
原因はいくつか考えられるんだけど……まさかうまく表示されてないから、なんてこと、ないよね……?
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自分は何故、ここへ連れてこられたのか?
窓の外を見つめながら彼女は思う。
ポケモンの愛で方講座は連日続いていた。
講師陣がそれぞれ自分の好きなポケモンこそ一番と熱烈に勧めてくるだけでなく、彼女に実際にポケモンを触れさせながら、反応を見ようと向けてくる視線がまた熱い。
「もふもふしてると、なんだか心が安らぎませんか? 気持ちがいいと感じたら、貴女も一人前です!!」
たとえば、膝の上に乗ってきたシャドーの撫で方を琴牙が指導するとき。
言わんとすることは何となく分かったものの、それが自分にとってどうかというのはまた違う。手触り自体は申し分なく手入れが行き届いていることを物語っていたし、そこから琴牙が元々ポケモンブリーダーであることをなんとか思い出しはしたが、もふもふした感触を楽しむのはあくまで彼の個人的な趣味だ。その部分に同調できるほど惹かれるものかといえばそうでもない。
一方、彼女は常に何かの企図が裏に潜んでいる可能性を警戒していた。しかし以前のような不自然さを感じることはなく、あったとしてもそれは前面に出すぎている愛情の陰に完全に隠れていた。
トータルで言うと、何が良いのか、やっぱりよく分からなかった。
その琴牙の姉、巳琴は講座にこそ参加していなかったが、別の趣味を持って客室を訪ねてきた。
「ほーら、ミコちゃん、私がもう着ない服だけど似合うじゃな~い。」
自分のお下がりであることを強調する必要はないんじゃないか、と頭の片隅で思ったが、突っ込むのも野暮なので黙って着せ替え人形扱いになっておく。
「でもこれじゃ夏暑いかしら?黒だし。あっ、いっそのことボーイッシュに決めちゃう?」
「…………。」
自分の意見を挟む暇はなかった。
彼女は裏切りに直面した“事件”以降ほとんど人の世話になろうとせず、閉じこめられているか何も持たずに逃げ回るかのどちらかだったので、着替えなど持っているはずもない。幸い、空色の石が右手の甲に表出していた頃から身体や持ち物、つまり宝石に触れているものを変形できる能力を得ていたため、外見を“作り替える”ことで周囲の目はごまかしてきた(恨みに突き動かされていた時は身だしなみさえおろそかになっていたが)。
事件以前はどうかというと、着飾ることへの興味はほとんど持っていなかった。ここまでたくさんの服を持ったことなど一度もない。
「ん~、どれがいいかしら…。」
持ち込まれた衣装ケースはあっという間に全部開封され、部屋中が服やら帽子やら小物やらで埋め尽くされた。
どこから持ってきたのかなんて聞くだけ無駄だと既に割り切っている。元はホテルだったという建物を買い取って丸ごと使っているのだから、共同生活する人やポケモンの数を考えても、余る部屋は一つや二つでは済まないはずだろう。
夜は夜で、テレビを見るポケモンたちにつきあわされる。
『いけー!いけー!!』
『そこデシ、ゴールデシ!!』
彼らが夢中になって声援を送るアニメも、その後のバラエティも、彼女が初めて見る番組だった。
何が面白いのかいまいち理解できない。しかしその場を離れれば呼び止められるだろうと思い、大型テレビを取り囲むポケモンの集団から少し離れたところで体育座りをしていたら、世話係につけられていたあのヤミラミが寄ってきた。
『あぁらミコちゃん、面白くない? だめよそんな怖い顔してちゃ? ほーら、ミコちゃんもすまーいるすまーいる!!うふっw』
そう言って笑いかけてくる。
怖い顔をしていた覚えはないが、特に何も考えていない無表情は笑いだらけの周囲に比べれば十分に浮いて見えたのだろう。
『そうそう、すまーいるだぜ?こうやってお口を上にひっぱって…すまーいる!』
「ほらミコさんも一緒にすまーいる!!」
ヒトカゲが同調する。さらに琴牙までやって来た。
何をのんきな顔で、と思った矢先、彼女の頭の上によじ登っていたシャドーが前足を出して、あろうことか顔の前に下ろしてきた。
口角が強制的に上へ伸ばされる。
「すまーいるすまーいる!!」
確か前にも、こんなことがあったような気がする。
何もかもを一生懸命にやっていた、そしてそれが何らかの形で報われるはずだと信じていた、そんな頃に何度か。
頬に触れていたのが誰の手だったか、そもそも手じゃない何かだったのかは忘れたけれど。
笑顔が出来ない、作ろうとしても全く様にならない理由は、嫌になるほどはっきりしている。
顔を作っても肝心の感情がついてこない。
それは忌まわしい記憶と共に長いこと封じられ、共に取り返した後も感覚は全く取り戻せていない。あの場所を作ったとき、自分がそれなりに何かを楽しんでいたらしいことは覚えていたのに、そのときのどんな気持ちなのかが思い出せないのだった。
頬を曲げてくる感触に顔を引きつらせながら彼女は思う。
この世界に、自分が楽しいと感じるものは在るのだろうか?
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過去のログとSSを時系列で整頓してみたら、見事なまでに同じ経路をぐるぐるとさまよっていることが分かった。
分かってる、根本的な解決法を見いだせてない自分が悪い。
自分は何故、ここへ連れてこられたのか?
窓の外を見つめながら彼女は思う。
ポケモンの愛で方講座は連日続いていた。
講師陣がそれぞれ自分の好きなポケモンこそ一番と熱烈に勧めてくるだけでなく、彼女に実際にポケモンを触れさせながら、反応を見ようと向けてくる視線がまた熱い。
「もふもふしてると、なんだか心が安らぎませんか? 気持ちがいいと感じたら、貴女も一人前です!!」
たとえば、膝の上に乗ってきたシャドーの撫で方を琴牙が指導するとき。
言わんとすることは何となく分かったものの、それが自分にとってどうかというのはまた違う。手触り自体は申し分なく手入れが行き届いていることを物語っていたし、そこから琴牙が元々ポケモンブリーダーであることをなんとか思い出しはしたが、もふもふした感触を楽しむのはあくまで彼の個人的な趣味だ。その部分に同調できるほど惹かれるものかといえばそうでもない。
一方、彼女は常に何かの企図が裏に潜んでいる可能性を警戒していた。しかし以前のような不自然さを感じることはなく、あったとしてもそれは前面に出すぎている愛情の陰に完全に隠れていた。
トータルで言うと、何が良いのか、やっぱりよく分からなかった。
その琴牙の姉、巳琴は講座にこそ参加していなかったが、別の趣味を持って客室を訪ねてきた。
「ほーら、ミコちゃん、私がもう着ない服だけど似合うじゃな~い。」
自分のお下がりであることを強調する必要はないんじゃないか、と頭の片隅で思ったが、突っ込むのも野暮なので黙って着せ替え人形扱いになっておく。
「でもこれじゃ夏暑いかしら?黒だし。あっ、いっそのことボーイッシュに決めちゃう?」
「…………。」
自分の意見を挟む暇はなかった。
彼女は裏切りに直面した“事件”以降ほとんど人の世話になろうとせず、閉じこめられているか何も持たずに逃げ回るかのどちらかだったので、着替えなど持っているはずもない。幸い、空色の石が右手の甲に表出していた頃から身体や持ち物、つまり宝石に触れているものを変形できる能力を得ていたため、外見を“作り替える”ことで周囲の目はごまかしてきた(恨みに突き動かされていた時は身だしなみさえおろそかになっていたが)。
事件以前はどうかというと、着飾ることへの興味はほとんど持っていなかった。ここまでたくさんの服を持ったことなど一度もない。
「ん~、どれがいいかしら…。」
持ち込まれた衣装ケースはあっという間に全部開封され、部屋中が服やら帽子やら小物やらで埋め尽くされた。
どこから持ってきたのかなんて聞くだけ無駄だと既に割り切っている。元はホテルだったという建物を買い取って丸ごと使っているのだから、共同生活する人やポケモンの数を考えても、余る部屋は一つや二つでは済まないはずだろう。
夜は夜で、テレビを見るポケモンたちにつきあわされる。
『いけー!いけー!!』
『そこデシ、ゴールデシ!!』
彼らが夢中になって声援を送るアニメも、その後のバラエティも、彼女が初めて見る番組だった。
何が面白いのかいまいち理解できない。しかしその場を離れれば呼び止められるだろうと思い、大型テレビを取り囲むポケモンの集団から少し離れたところで体育座りをしていたら、世話係につけられていたあのヤミラミが寄ってきた。
『あぁらミコちゃん、面白くない? だめよそんな怖い顔してちゃ? ほーら、ミコちゃんもすまーいるすまーいる!!うふっw』
そう言って笑いかけてくる。
怖い顔をしていた覚えはないが、特に何も考えていない無表情は笑いだらけの周囲に比べれば十分に浮いて見えたのだろう。
『そうそう、すまーいるだぜ?こうやってお口を上にひっぱって…すまーいる!』
「ほらミコさんも一緒にすまーいる!!」
ヒトカゲが同調する。さらに琴牙までやって来た。
何をのんきな顔で、と思った矢先、彼女の頭の上によじ登っていたシャドーが前足を出して、あろうことか顔の前に下ろしてきた。
口角が強制的に上へ伸ばされる。
「すまーいるすまーいる!!」
確か前にも、こんなことがあったような気がする。
何もかもを一生懸命にやっていた、そしてそれが何らかの形で報われるはずだと信じていた、そんな頃に何度か。
頬に触れていたのが誰の手だったか、そもそも手じゃない何かだったのかは忘れたけれど。
笑顔が出来ない、作ろうとしても全く様にならない理由は、嫌になるほどはっきりしている。
顔を作っても肝心の感情がついてこない。
それは忌まわしい記憶と共に長いこと封じられ、共に取り返した後も感覚は全く取り戻せていない。あの場所を作ったとき、自分がそれなりに何かを楽しんでいたらしいことは覚えていたのに、そのときのどんな気持ちなのかが思い出せないのだった。
頬を曲げてくる感触に顔を引きつらせながら彼女は思う。
この世界に、自分が楽しいと感じるものは在るのだろうか?
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プロフィール
HN:
Rista
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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