Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
カフェパ話。
ほぼSSだけで展開することへ疑問の声も出ていますが、チャットを借りるほど大きなことをやる時間は正直ないんですよね……
できればカフェで話を回していくのが理想だけど、それもまた難しくなってきた今日この頃。
ほぼSSだけで展開することへ疑問の声も出ていますが、チャットを借りるほど大きなことをやる時間は正直ないんですよね……
できればカフェで話を回していくのが理想だけど、それもまた難しくなってきた今日この頃。
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空間が「閉ざされて」から2日が経過した。
「ミコちゃ~ん。出てきてよー。」
今日もドアの向こうから声が聞こえてくる。
いい気味だ。ベッドの上にうずくまったまま怪物は思う。
「ご飯食べないと倒れちゃうわよ~?」
呼びかける女が言う通り、常人なら空腹の限界を超えて身動きを取る力も失い始める頃だ。しかし彼女は違う。以前からある程度の耐性を獲得しており、ここ2年ほど、逃げ隠れと監禁生活の繰り返しでそれはさらに強化されていた。ちなみにバケモノになったのは1年前なのでそれとは特に関係ない。
要するに、絶食には慣れているのだ。
『ミコおねーちゃーん、でてきてよ~。』
例のヒトカゲの声も重なった。鳴き声の中にも何となく意味は感じ取れる。
怪物はこの幼いポケモンが常に同行している理由を特に疑っていた。根拠こそ特にないが、何故か特に強い不安を感じる。
ただの善意ではないような。
よくできすぎた作り物の世界を見ているような。
……そもそも、本物の善意がどんなものだったかが思い出せないんだけれども。
そこへ、また別の声が割って入ってきた。
「ミコはん、そんな引きこもっててもしゃーないでーぇ? ほら、わいらはあんさんと一緒に遊びたいだけなんやし、なぁ?」
これはミロカロスだったか。この地のポケモンにしては珍しく、翻訳の必要がない言語の形式を取っていたけれど、多分そんな気がする。うろ覚えだった。
遊ぶ? こんな私と?
疑問を握り潰すように、やせ衰えた胸に枯れ枝のような手を添える。取り替えられていない包帯の下、火傷の痕は前よりは癒えていたが、薬の効果はもう薄れている頃だろう。
「ほら、ヒノマルちゃんも出てきてほしいっていってるから、ね?」
声が聞こえてくるということは、こちらが声を出せば向こうに届くことも意味している。しかし彼女は答えない。
ただ考え続ける。
既視感の裏に感じる作為を。
直感が告げている、この一家の作意を。
この時点で、彼女は決して計画を見抜いていたわけではない。
ただ彼らの幸せそうな笑顔を怪しみ、自らの記憶に残る「優しさ」の定義と重ね合わせ、信じるに足る理由なしと判断した。それだけだった。
それだけでも動き出す理由としては十分だった。
いいわ。そんなに遊びたいなら、遊んであげる。
壊れた怪物がこの場所に連れてこられて、ちょうど7日目の深夜。
彼女はまず断絶の結界を解除した。何の余韻もなく再び戻ってきた世界を窓越しに確かめ、他の窓からこぼれて庭に映ったわずかな光の線を数える。最後の1つが消えたところだった。
家中の者が寝静まったことを音でも確かめると、静かに扉を開く。
(あの人たちは私のことなんて見ちゃいない。どうせ、自分たちのシナリオを成就させるための道具としか思ってないのよ)
開けっ放しになった扉の奥、部屋の中はもぬけの殻。
足跡と匂いはドアから一歩出たところで途切れている。
(今に見てなさい……あなたたちの企み、暴いてみせるから)
姿を消して
足音を消して
気配も消して
彼女は広い家の中を探り始める。
時折わざと立ち寄ったような痕跡を残しながら。
……まずは、水を手に入れなくては。
----------
意地の張り合いで硬直状態になるのを脱してみようとはしたものの、
やっぱりおとなしく言うことを聞いてはくれなかった。
補足すると、基本的な仕組みは前回の壁張りと一緒です。対象を部屋から本人限定に変えただけ。
「人に見られている間は決して姿を現さない」という特徴があります。つまり……?
空間が「閉ざされて」から2日が経過した。
「ミコちゃ~ん。出てきてよー。」
今日もドアの向こうから声が聞こえてくる。
いい気味だ。ベッドの上にうずくまったまま怪物は思う。
「ご飯食べないと倒れちゃうわよ~?」
呼びかける女が言う通り、常人なら空腹の限界を超えて身動きを取る力も失い始める頃だ。しかし彼女は違う。以前からある程度の耐性を獲得しており、ここ2年ほど、逃げ隠れと監禁生活の繰り返しでそれはさらに強化されていた。ちなみにバケモノになったのは1年前なのでそれとは特に関係ない。
要するに、絶食には慣れているのだ。
『ミコおねーちゃーん、でてきてよ~。』
例のヒトカゲの声も重なった。鳴き声の中にも何となく意味は感じ取れる。
怪物はこの幼いポケモンが常に同行している理由を特に疑っていた。根拠こそ特にないが、何故か特に強い不安を感じる。
ただの善意ではないような。
よくできすぎた作り物の世界を見ているような。
……そもそも、本物の善意がどんなものだったかが思い出せないんだけれども。
そこへ、また別の声が割って入ってきた。
「ミコはん、そんな引きこもっててもしゃーないでーぇ? ほら、わいらはあんさんと一緒に遊びたいだけなんやし、なぁ?」
これはミロカロスだったか。この地のポケモンにしては珍しく、翻訳の必要がない言語の形式を取っていたけれど、多分そんな気がする。うろ覚えだった。
遊ぶ? こんな私と?
疑問を握り潰すように、やせ衰えた胸に枯れ枝のような手を添える。取り替えられていない包帯の下、火傷の痕は前よりは癒えていたが、薬の効果はもう薄れている頃だろう。
「ほら、ヒノマルちゃんも出てきてほしいっていってるから、ね?」
声が聞こえてくるということは、こちらが声を出せば向こうに届くことも意味している。しかし彼女は答えない。
ただ考え続ける。
既視感の裏に感じる作為を。
直感が告げている、この一家の作意を。
この時点で、彼女は決して計画を見抜いていたわけではない。
ただ彼らの幸せそうな笑顔を怪しみ、自らの記憶に残る「優しさ」の定義と重ね合わせ、信じるに足る理由なしと判断した。それだけだった。
それだけでも動き出す理由としては十分だった。
いいわ。そんなに遊びたいなら、遊んであげる。
壊れた怪物がこの場所に連れてこられて、ちょうど7日目の深夜。
彼女はまず断絶の結界を解除した。何の余韻もなく再び戻ってきた世界を窓越しに確かめ、他の窓からこぼれて庭に映ったわずかな光の線を数える。最後の1つが消えたところだった。
家中の者が寝静まったことを音でも確かめると、静かに扉を開く。
(あの人たちは私のことなんて見ちゃいない。どうせ、自分たちのシナリオを成就させるための道具としか思ってないのよ)
開けっ放しになった扉の奥、部屋の中はもぬけの殻。
足跡と匂いはドアから一歩出たところで途切れている。
(今に見てなさい……あなたたちの企み、暴いてみせるから)
姿を消して
足音を消して
気配も消して
彼女は広い家の中を探り始める。
時折わざと立ち寄ったような痕跡を残しながら。
……まずは、水を手に入れなくては。
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意地の張り合いで硬直状態になるのを脱してみようとはしたものの、
やっぱりおとなしく言うことを聞いてはくれなかった。
補足すると、基本的な仕組みは前回の壁張りと一緒です。対象を部屋から本人限定に変えただけ。
「人に見られている間は決して姿を現さない」という特徴があります。つまり……?
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性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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