Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
カフェパ話。
連休こそ忙しいというこの状況、何とか話は進めたいんだけど……
連休こそ忙しいというこの状況、何とか話は進めたいんだけど……
---------
「もう、いきなり危ないじゃないの…包丁使いたいなら今度夕食の支度、手伝ってくれるかしら?w」
『MISS!! ミコちゃんのこうげきは はずれた! ボクの こうげき!』
『あ、きれいに真っ二つッス。すごいッス、ありがとッス!』
立ちはだかる邪魔者を怯ませるはずが、気づけば何故か木の実を切っていた。
彼女は滞在2日目も警戒をやめなかった。しかし、攻撃も意図も、いっそ悲しくなるほど空振りし続ける。
こいつらだってこんなのを素でやってるはずがない、絶対に何か裏があるはずだ。そう確信はしていても確かめるすべはなく(何しろ声が出せない)、むなしさだけが募る。せめていつでも反撃に転じられるよう、刃の形をとどめておくことが精一杯の抵抗だった。
……さすがにずっとそのままだと腕が重いので、疲れたときは片手だけ元に戻していたけど。
琴牙の母、紫琴が山菜採りに行くと言い出したときも、何故自分まで?と考えている暇はほとんどなかった。
気がつけば山に同行するポケモンたちに囲まれていたし、無邪気そのものの視線がとにかく突き刺さって居心地が悪いことこの上ない。今まで封印や監禁をされていたときのような無言で静かな監視とは違うが、大勢の視線が露骨に向けられてくるのもこれはこれで苦しく、しかも少しでも離れれば即座に誰かが袖を掴んでくる。結局逃げる隙は一分たりとも見いだせなかった。
そもそもどうして自分はこんな場所に居て世話を焼かれているんだろう?
疑問が頭をよぎった、そんなときだった。
『ほら、ここにノビルがいっぱいあるよ!』
幾手に分かれた後も彼女と行動を共にしていたヒトカゲが、刃物でない方の手を引いて崖の上へと導く。
『かご見といて、とってくる!』
どこか懐かしいぬくもりを手の中に残し、ヒトカゲは一匹で走り出した。その嬉しそうな横顔と、
その足元にまで迫る地面の亀裂とを、
見てしまった。
……同時刻、島の一角。
緑の小袖の少年と黒い振袖の女が、そろって高い枝の上で遠くの海を見つめている。
しかし女は――その額に開いた灰色の目だけは、全く違う世界の、春の恵みに満ちた山を映している。
「やはり彼らは事情を知っているようです」
静かに女が口を開けば、少年は意味ありげな笑みを浮かべた。
「そうだろうねぇ。そもそも何が問題なのか分かってなかったら、心を癒そうにも作戦立てられないもん。それなのに全然尋ねてこなかったからね、最初からある程度のことは知ってたって考えるのが自然だよ」
「それだけではありません。さらに詳細な情報の収集も始めているようです」
「こっちで?」
「いえ、今は。ですが島での調査も近いうちに始まるかと」
「じゃあ、やっぱり早いうちに『あれ』のことも教えてあげた方が良さそうだね。場所が場所だ、そのうち絶対にやらかすと思うんだけど……」
「ちょうど今、懸念通りの事項を“やらかした”ようですが」
「……え? もう?」
第三の目は、崩れゆく土の塊をその網膜に映している。
執拗なほどの監視の目だが、就寝時間を過ぎればぱたりと途絶える。
彼女がそのことに気づいたのは最初の夜だった。寝入ったふりをしていれば世話役の人は出て行ってしまい、翌朝にならないと戻ってこない。しかしドアの外に誰かが潜んでいることもまだ疑われるので、目立った行動は起こさないようにしていた。
そのまま“ ”を使って眠るのも良かったが、今日はまだ目が冴えていたので起きていた。ベッドの上に座り込み、今日のことを思い返す。
あの後、崩れた崖から落ちていったヒトカゲは結局、駆けつけたカイリューによって即座に救出された。
そのカイリューによる説教を彼女は黙って見ていた。両者の関心は自分からそれているはずだったが、千載一遇のチャンスにもかかわらず、一歩も動けなかった。
ヒトカゲの姿に一瞬重なった、懐かしい記憶の断片。
割れる地面そのものに対して沸き立った不思議な感情。
前者は後者に飲み込まれ、気づけば刃を振るっていて――ハサミ自体は届かないその距離なのに、目の前の亀裂が自分の望んだ通りの崩壊を迎えたその瞬間、何ともたとえがたい感情を抱いていた。
その感触が本当なら、自分の『 』がもたらしたものなら、それは自分が引き起こしたことだ。
今まで抑制されてきた力の行使をついに達成したのだ。喜んだっておかしくないことのはずなのに……
何かが引っかかる。
「とりあえず山菜は集まったから、撤収だよ。」
『はーい!』
散々叱られたにも関わらず、ヒトカゲはもう元気な顔で敬礼などしていた。かと思えば彼女のところへ戻ってきて「心配かけてごめんなさい」と謝り、一緒に山を降りよう、と手を引っ張ってくる。
『ね、かえろかえろw』
「……。」
その笑顔が何故か、これまで以上に心に突き刺さったことを、はっきりと思い出した。
よく分からないもやもやしたものを抱えながら彼女は眠った。
その夜に見た夢を翌朝には忘れてしまったが――炎に彩られた夢だったような、そんな気がする。
---------
早く次を書きたいトーストさんには申し訳ないんですが、やっぱりもたついております。
どうして自分のキャラなのに心情描写に苦労してるんだ……!
「もう、いきなり危ないじゃないの…包丁使いたいなら今度夕食の支度、手伝ってくれるかしら?w」
『MISS!! ミコちゃんのこうげきは はずれた! ボクの こうげき!』
『あ、きれいに真っ二つッス。すごいッス、ありがとッス!』
立ちはだかる邪魔者を怯ませるはずが、気づけば何故か木の実を切っていた。
彼女は滞在2日目も警戒をやめなかった。しかし、攻撃も意図も、いっそ悲しくなるほど空振りし続ける。
こいつらだってこんなのを素でやってるはずがない、絶対に何か裏があるはずだ。そう確信はしていても確かめるすべはなく(何しろ声が出せない)、むなしさだけが募る。せめていつでも反撃に転じられるよう、刃の形をとどめておくことが精一杯の抵抗だった。
……さすがにずっとそのままだと腕が重いので、疲れたときは片手だけ元に戻していたけど。
琴牙の母、紫琴が山菜採りに行くと言い出したときも、何故自分まで?と考えている暇はほとんどなかった。
気がつけば山に同行するポケモンたちに囲まれていたし、無邪気そのものの視線がとにかく突き刺さって居心地が悪いことこの上ない。今まで封印や監禁をされていたときのような無言で静かな監視とは違うが、大勢の視線が露骨に向けられてくるのもこれはこれで苦しく、しかも少しでも離れれば即座に誰かが袖を掴んでくる。結局逃げる隙は一分たりとも見いだせなかった。
そもそもどうして自分はこんな場所に居て世話を焼かれているんだろう?
疑問が頭をよぎった、そんなときだった。
『ほら、ここにノビルがいっぱいあるよ!』
幾手に分かれた後も彼女と行動を共にしていたヒトカゲが、刃物でない方の手を引いて崖の上へと導く。
『かご見といて、とってくる!』
どこか懐かしいぬくもりを手の中に残し、ヒトカゲは一匹で走り出した。その嬉しそうな横顔と、
その足元にまで迫る地面の亀裂とを、
見てしまった。
……同時刻、島の一角。
緑の小袖の少年と黒い振袖の女が、そろって高い枝の上で遠くの海を見つめている。
しかし女は――その額に開いた灰色の目だけは、全く違う世界の、春の恵みに満ちた山を映している。
「やはり彼らは事情を知っているようです」
静かに女が口を開けば、少年は意味ありげな笑みを浮かべた。
「そうだろうねぇ。そもそも何が問題なのか分かってなかったら、心を癒そうにも作戦立てられないもん。それなのに全然尋ねてこなかったからね、最初からある程度のことは知ってたって考えるのが自然だよ」
「それだけではありません。さらに詳細な情報の収集も始めているようです」
「こっちで?」
「いえ、今は。ですが島での調査も近いうちに始まるかと」
「じゃあ、やっぱり早いうちに『あれ』のことも教えてあげた方が良さそうだね。場所が場所だ、そのうち絶対にやらかすと思うんだけど……」
「ちょうど今、懸念通りの事項を“やらかした”ようですが」
「……え? もう?」
第三の目は、崩れゆく土の塊をその網膜に映している。
執拗なほどの監視の目だが、就寝時間を過ぎればぱたりと途絶える。
彼女がそのことに気づいたのは最初の夜だった。寝入ったふりをしていれば世話役の人は出て行ってしまい、翌朝にならないと戻ってこない。しかしドアの外に誰かが潜んでいることもまだ疑われるので、目立った行動は起こさないようにしていた。
そのまま“ ”を使って眠るのも良かったが、今日はまだ目が冴えていたので起きていた。ベッドの上に座り込み、今日のことを思い返す。
あの後、崩れた崖から落ちていったヒトカゲは結局、駆けつけたカイリューによって即座に救出された。
そのカイリューによる説教を彼女は黙って見ていた。両者の関心は自分からそれているはずだったが、千載一遇のチャンスにもかかわらず、一歩も動けなかった。
ヒトカゲの姿に一瞬重なった、懐かしい記憶の断片。
割れる地面そのものに対して沸き立った不思議な感情。
前者は後者に飲み込まれ、気づけば刃を振るっていて――ハサミ自体は届かないその距離なのに、目の前の亀裂が自分の望んだ通りの崩壊を迎えたその瞬間、何ともたとえがたい感情を抱いていた。
その感触が本当なら、自分の『 』がもたらしたものなら、それは自分が引き起こしたことだ。
今まで抑制されてきた力の行使をついに達成したのだ。喜んだっておかしくないことのはずなのに……
何かが引っかかる。
「とりあえず山菜は集まったから、撤収だよ。」
『はーい!』
散々叱られたにも関わらず、ヒトカゲはもう元気な顔で敬礼などしていた。かと思えば彼女のところへ戻ってきて「心配かけてごめんなさい」と謝り、一緒に山を降りよう、と手を引っ張ってくる。
『ね、かえろかえろw』
「……。」
その笑顔が何故か、これまで以上に心に突き刺さったことを、はっきりと思い出した。
よく分からないもやもやしたものを抱えながら彼女は眠った。
その夜に見た夢を翌朝には忘れてしまったが――炎に彩られた夢だったような、そんな気がする。
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早く次を書きたいトーストさんには申し訳ないんですが、やっぱりもたついております。
どうして自分のキャラなのに心情描写に苦労してるんだ……!
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プロフィール
HN:
Rista
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
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