Bawl of Monster / day 1

連続でカフェパ話。
昨夜の騒動？の結果を受けて。

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「はい、クスリも塗ったし、包帯も新しいのに替えてあげたからもう大丈夫かしら？でもまた替えないとね。」
「グゥ……。」
　喉が痛くて声を出せない。
　それは皮膚と同じく火炎の熱にやられたためだったが、本人はそれを理解してない。治療者の方が気づいているかどうかにも興味はなかった。
　ただ警戒して、目の前の女にハサミを向け続ける。
「もぅ、そんな危害加えるわけじゃないんだからぁ…落ち着いて、ね？ｗ」
　女は優しく言いながら布団をかぶせてきた。
「は～い、今日はゆっくり寝て、明日に備えてね？」

　明日？
　何それ？



　２年前の夏。
　掲示板に堂々と張り出された宣戦布告から始まった、戦いの記憶。

　最初から裏切るつもりで何度もカフェを訪れていた人のこと
　いくつかの事件が全部裏でつながって、仕組まれて、踊らされた人々を嘲笑うためにあったこと
　止めようとしたら、救おうとした人からも「邪魔するな、面白くない」という顔をされたこと

　どうして？
　みんなが本気になって手を組めば追い返せる、それくらいの人数は確かにいたはずなのに。
　真剣になれば強くなれる人たちなのに。
　カフェを守ろうという言葉は、嘘だったの？

　それなりに知ってる間柄だからって強盗や略奪を許すの
　どうせ後で取り返せばいいからって侵略に目をつぶるの
　自分たちが楽しければ戦争で島が壊されてもかまわないの

　どうして？
　カフェはそんな、人やポケモンを傷つけあって楽しむために作った場所じゃないのに。
　奪って奪い返して奪い合う駒になるために在る場所にはしたくなかったのに。
　どうして……みんな、黙って見過ごそうとしてるの？

　ただバトルがしたいからってそんな演出が必要なのか
　もしかして――全員ぐるになってて、自分たちが負けた演技をして侵略者に勝たせるために戦ってるのか
　裏切り者がこれで全員だと確信した訳じゃない、可能性は十分にある
　そうか
　最初から誰も島を守る気なんてなかったのかもしれない

　この島で狼藉をはたらくなら外でも同じことをしてるに決まってる、だったら止めないと
　霧の向こうに広がってるたくさんの世界を守るために
　未来を守るために

　だから私は青い石に願った。
　自分はどうなってもかまわない、力をくださいと。

　全員が集まってきた
　手を組んだ
　一斉にこっちを見て……私を攻撃してくる……！



『おっはよーデシ！朝デシ！ご飯デシ！おきるデシ！』

　頬を突かれる感触で目を覚ました。
　顔のすぐ隣に、騒ぎながら飛び跳ねる白い物体がいる。自分の髪が邪魔でよく見えないけど。
『はーやーく、おきるデシ、でしい！；』
「ダメじゃないのセイントちゃん、無理に起こしたりしたらー。」
　昨夜の女性がそいつを抱き上げたのが見えた。毛玉っぽい。ポケモンなのかもしれないし、昨日も見たかもしれないけど、思い出せない。

　気がつくと、直前まで見ていた夢も思い出せなくなっていた。
　後味の悪さだけが頭の片隅に残っている。


『その人だれだー？新しい友達？』
「ま、食べて食べて？朝の元気は朝食からよｗ」
『遊ぶデシ！』
『あ、いまからサッカーなんッスけど、見学するッス？』
『腹減っとるか？木の実一個どや？』
　その後もいろんな人やポケモンに出会ったが、違和感と苦しみしか覚えなかった。
　何故自分はこんなところにいるのか。
　どうしてこんなに世話を焼かれて、散々話しかけられるのか。
　なんか違う名前で呼ばれた気がしたけど、そもそも自分の名前は何だったのか。

　考えても分からないし、次第に考えることも出来なくなってきた。

　島を取り戻すと息巻いていたことなど、既にどうでも良くなっていた。
　よく分からないけど危険な気がする、ここから逃げないと――ただ焦りだけが、人間であることを捨てた化け物に刃を振るわせていた。


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降ってわいたような、新たな受難の日々。
昼休み中に突発で書いてみる。

最後の単語をカタカナにしなかったのはわざとだ、と未来の自分に書き残しておく。


＞トーストさん
そちらのブログからいくらか引用させていただきました。
とりあえず「生物」って表記はあの場面で名前伏せるためだけに使ったんで、次からはもうちょっと違う表現使ってほしいです……；