Party Syndromeの現場に踊る足跡の記録。
カフェパ話。
結局また間が空いた上、3日がかりになってしまった。本当は先週のうちに仕上げるつもりだったんだけど。
化け狐の受難についてもそのうち書きたいところだ。
結局また間が空いた上、3日がかりになってしまった。本当は先週のうちに仕上げるつもりだったんだけど。
化け狐の受難についてもそのうち書きたいところだ。
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満月の夜。
山に、森に、家々に、蒼い光が静かに降り注ぐ。
多くの生き物は既に眠りにつき、闇の中をすみかとする一部だけが動き回る真夜中なのに、昼の世界の住人であるはずの人間たちはまだしぶとく起きていた。もちろん活動場所は外ではない。
太陽には劣るが直視するとそれなりにまぶしい、しかしどこか暖かいもの。それは酒場の明かりである。
「そうか。つまり、君は自分が作戦から外されて、何もさせてもらえないのが悔しいのかな」
「悔しいっていうか……寂しいのかも」
湯気が少なくなってきたスープの表面をため息がかすかに揺らす。
メープルがどんな人間かを少しでも知っている者なら、今の彼女の落ち込みようは一目で理解できただろう。普段なら話している間も手に持ったスプーンがせわしなく動き続けるのが常なのに、今回は動きが止まっているどころか、いつそれを取り落としてもおかしくない様子だった。スープの隣には3~4人前に相当するリゾットの大皿が置かれていて、こちらはほぼ完食に近い状態だったが、それでも彼女一人の食事量としてはいつもより確実に少なかった。
ちなみに彼女の真正面には、先述の一式と別に、一人分の魚料理の皿がある。これはもちろん会話の相手、ルドルフのものだ。
「寂しい?」
そのルドルフが問い返すと、メープルは小さくうなずいた。
「さっきも言ったけど、外された理由ははっきりしてて理屈も通ってるの。だけど……仲間が怪我までしてるのに、ずっと黙って見てろなんて……何があってもハクタイには来るなって……」
スプーンが飲みかけのスープにさざ波を起こす。
昨夜の定例会議でも、メープルが知ることが出来たのは「目立った進展がない」ことだけだった。
幸いにも負傷した数名はほとんどが無事復帰しており、もっとも傷の深い一人も退院のめどが立ったという。しかしそれ以上の話は全員を集めた会議とは別の場所で報告されているらしく、いくら質問してもまともに答えてもらえなかった。
『どこで奴に聞かれてるか分からない以上、うかつに情報を漏らすわけにもいかないんだ。悪いな』
『そんな。私だってみんなの仲間だよ!?』
『解ってる。別にお前が信用できないってわけじゃない。でもな……』
戦力になれなかった主な理由は「担当区域が違うから」というものだが、これに関しては同様に除外されたのがもう一人いることもあって、彼女も異論は唱えなかった。しかし入院した仲間の見舞いさえ断られたとなると話は別だ。彼女はしばらく食い下がった。
結局、得られたのは、たった一つの指令だけだった。
ふと我に返ったメープルが顔を上げると、ルドルフの顔がさっきより近づいていた。
動きを止めてしまった彼女を心配して身を乗り出していたらしい。目が合うと彼は安心した表情を浮かべ、長椅子に座り直した。
「本部長からは、『何もするな』って言われたの?」
「ううん。『自分の仕事をしてくれ』って」
「君の仕事は何?」
「……ルドルフと連絡を取って、“こっちの世界”で問題が起きてないか確認して……報告すること」
こっちの世界、と口にしてから、メープルは慎重に左右を確かめた。
陽気な騒ぎ声と料理の匂い。春先の屋外がまだまだ冷えることを忘れてしまうような人いきれの中、どこを見ても怪しい気配はない。
「そうだね。だからこうやって僕と会って話してる。君はちゃんと君の作戦を遂行できているんだ」
「………………そりゃ、そうなんだけど……」
「それでも、気になるんだよね?」
口を閉ざしてうつむく動作が返答だった。
「気にすること自体は悪いことじゃないよ。君がみんなのことを大切に思ってるって証拠なんだから。でも、みんなは君のことを信頼していて、だから君にここを任せたんじゃないのかな?」
「………………」
「心配ないよ。君が信じてる仲間たちは、とっても強いんだから。……さて」
ルドルフは安い酒が入った木製のジョッキを傍らに置くと、隣の椅子に立てかけていたギターを取った。
弦を軽くかき鳴らし、一呼吸置くと、正面に座る少女へ改めて語りかける。
「まだ時間はあるようだ。お嬢さん、一曲いかがです?」
言葉一つで全部の疑問が解けるなんて思ってないし、自分はそこまで口先のうまい人間でもない。
だったら、せめて歌おう。
もやもやした気持ちを少しでも、一時でも、忘れていられるように。
--------------------
カフェでも事件現場でもない、また別の世界でのお話。
「島」を一つの世界と取るなら、彼らの活動範囲は少なくとも3つの世界にまたがる。
それだけ敵も多い。
それだけ物語の可能性も広い。
満月の夜。
山に、森に、家々に、蒼い光が静かに降り注ぐ。
多くの生き物は既に眠りにつき、闇の中をすみかとする一部だけが動き回る真夜中なのに、昼の世界の住人であるはずの人間たちはまだしぶとく起きていた。もちろん活動場所は外ではない。
太陽には劣るが直視するとそれなりにまぶしい、しかしどこか暖かいもの。それは酒場の明かりである。
「そうか。つまり、君は自分が作戦から外されて、何もさせてもらえないのが悔しいのかな」
「悔しいっていうか……寂しいのかも」
湯気が少なくなってきたスープの表面をため息がかすかに揺らす。
メープルがどんな人間かを少しでも知っている者なら、今の彼女の落ち込みようは一目で理解できただろう。普段なら話している間も手に持ったスプーンがせわしなく動き続けるのが常なのに、今回は動きが止まっているどころか、いつそれを取り落としてもおかしくない様子だった。スープの隣には3~4人前に相当するリゾットの大皿が置かれていて、こちらはほぼ完食に近い状態だったが、それでも彼女一人の食事量としてはいつもより確実に少なかった。
ちなみに彼女の真正面には、先述の一式と別に、一人分の魚料理の皿がある。これはもちろん会話の相手、ルドルフのものだ。
「寂しい?」
そのルドルフが問い返すと、メープルは小さくうなずいた。
「さっきも言ったけど、外された理由ははっきりしてて理屈も通ってるの。だけど……仲間が怪我までしてるのに、ずっと黙って見てろなんて……何があってもハクタイには来るなって……」
スプーンが飲みかけのスープにさざ波を起こす。
昨夜の定例会議でも、メープルが知ることが出来たのは「目立った進展がない」ことだけだった。
幸いにも負傷した数名はほとんどが無事復帰しており、もっとも傷の深い一人も退院のめどが立ったという。しかしそれ以上の話は全員を集めた会議とは別の場所で報告されているらしく、いくら質問してもまともに答えてもらえなかった。
『どこで奴に聞かれてるか分からない以上、うかつに情報を漏らすわけにもいかないんだ。悪いな』
『そんな。私だってみんなの仲間だよ!?』
『解ってる。別にお前が信用できないってわけじゃない。でもな……』
戦力になれなかった主な理由は「担当区域が違うから」というものだが、これに関しては同様に除外されたのがもう一人いることもあって、彼女も異論は唱えなかった。しかし入院した仲間の見舞いさえ断られたとなると話は別だ。彼女はしばらく食い下がった。
結局、得られたのは、たった一つの指令だけだった。
ふと我に返ったメープルが顔を上げると、ルドルフの顔がさっきより近づいていた。
動きを止めてしまった彼女を心配して身を乗り出していたらしい。目が合うと彼は安心した表情を浮かべ、長椅子に座り直した。
「本部長からは、『何もするな』って言われたの?」
「ううん。『自分の仕事をしてくれ』って」
「君の仕事は何?」
「……ルドルフと連絡を取って、“こっちの世界”で問題が起きてないか確認して……報告すること」
こっちの世界、と口にしてから、メープルは慎重に左右を確かめた。
陽気な騒ぎ声と料理の匂い。春先の屋外がまだまだ冷えることを忘れてしまうような人いきれの中、どこを見ても怪しい気配はない。
「そうだね。だからこうやって僕と会って話してる。君はちゃんと君の作戦を遂行できているんだ」
「………………そりゃ、そうなんだけど……」
「それでも、気になるんだよね?」
口を閉ざしてうつむく動作が返答だった。
「気にすること自体は悪いことじゃないよ。君がみんなのことを大切に思ってるって証拠なんだから。でも、みんなは君のことを信頼していて、だから君にここを任せたんじゃないのかな?」
「………………」
「心配ないよ。君が信じてる仲間たちは、とっても強いんだから。……さて」
ルドルフは安い酒が入った木製のジョッキを傍らに置くと、隣の椅子に立てかけていたギターを取った。
弦を軽くかき鳴らし、一呼吸置くと、正面に座る少女へ改めて語りかける。
「まだ時間はあるようだ。お嬢さん、一曲いかがです?」
言葉一つで全部の疑問が解けるなんて思ってないし、自分はそこまで口先のうまい人間でもない。
だったら、せめて歌おう。
もやもやした気持ちを少しでも、一時でも、忘れていられるように。
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カフェでも事件現場でもない、また別の世界でのお話。
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それだけ敵も多い。
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Rista
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性別:
非公開
自己紹介:
化屋月華堂(親サイト)&カフェ「パーティ」(子サイト)管理人。今のところ活動は後者の方が活発。
一応今は社会人なので控えめに動いてるつもりだが、その割に子供じみた言動も多々ある。自覚あり。
ちなみにブログ名は“カフェパにのめり込んで離れられなくなった人”を指す造語に由来。
あなたは大丈夫ですか?
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