約5年かけた長編を約5年かけてリテイクした件。

今年の創作活動を振り返る企画、2個目はWebサイト化屋月華堂の一区切りの話。

まだ同人誌が遠い存在だった2003年4月、Ristaの趣味だけでサイト掲載を始めた長編小説『DROPOUT』。
SNSが広まる前なのでサーチ系サイトに登録するなどはしたものの、読者がどんどん増えるなど期待できるわけもない。
それでも自分では気に入っていました。
「一週間に一度、木曜に更新」「一回あたりの文章量をほぼ揃える」と決め、書いては掲載を繰り返し。たまにちょこっと感想もらったりしつつ、2006年に無事完結させました。

当時の自分は頑張った。でもまだまだ若かった。
小説は一時休止していろんなもの（伺かとかPBCとか）に寄り道したのち、2013年にTwitterを開始。
ところがここで、己の文章の未熟さに気づかないままある発言をしたことで、せっかくつながったフォロワーさんにブロックされることに。
改めて読み返してみると、直したい部分が出てくる出てくる。
猛省。

あまりにも悔しかったので、一から再構築して書き直すことにしました。
大筋と主な登場人物は変えない、しかし場面やキャラクターをはっきり描き分けるなど複数の「今までは全く意識してこなかったこと」を盛り込んで、本文を書き始めたのが翌年のこと。
３人の中心人物の立ち位置や人間関係も見直していくうち、脇役の変更やカットも出てきた。
さらに少しでもクオリティを上げるため、書いた章をすぐ見せることはせず、とりあえず一年分は書きためておこうと一人黙々と頑張っていました。

改稿版は2015年2月より、「木曜更新」「一回の分量はほぼ固定」の縛りはそのまま、同じURLにて再更新を開始。
気がつけば元のバージョンは基本的な軸や細かな場面にその面影を残すのみ、文章はほぼ丸ごと「10年後の自分」が新しく書き起こしたものになっていました。
そして翌年を睨んで続きを書きつつ更新し続ける日々が再びやってきました。
何しろ筆が速くない。一回分の原稿を書ききるのに一週間かかる。他の作品や活動との兼ね合い、自分の体調不良なども重なって少しずつストックは減っていくから、とにかく書き続けるしかなかった。
しかし最初に一年半分の余裕を作っていたことが功を奏し、一度だけ「しばらく更新休止」にして時間を稼いだものの、原稿が底をつくことは最後までありませんでした。

内容は「すごい」ものではないかもしれないけど、「よりよく」なっているという手応えがあった。
たくさん読んで、より広い世界に触れてきたことがよかったのでしょう。
読者も決して多くはないのですが、ゼロではないと実感したことも励みになりました。
だからこそ、続いた。

前々からひそかに思い描いていた「本にする」ことも、『ストレイトロード』を機に同人誌の世界へ踏み込んだことによりついに達成。


そして2019年12月。

【今週の化屋】『DROPOUT』web版・エピローグ

普通の高校生と見習い天使が聖と魔の思惑に翻弄される現代ファンタジー長編、これにて完結。https://t.co/ZHJFPFeiYF

紙の本(通販で頒布中)は来年に向けて続刊を準備中。内容がちょっと違います。

— Rista(化屋月華堂) (@Rista_Bakeya) December 11, 2019

７話で１つ、それを２４章。
ゼロ年代に走りきったときと同じページ数で、１０年代の自分も完走しました。


とはいえ心残りがないわけでもない。
カットした人物、メモ帳には書いたけど採用しなかったアイデアなどなどを前述の「本」にできるだけ詰め込むべく、頭の中では既に２巻以降の構想が走り出しています。
年末年始はPBCの更新に時間を取られますが、その後に（ストレイトロードの新刊と並行して）本文の続きに着手する予定です。


積み重ねていくことだけは定評のあるRistaの振り返りでした。

close

2200以上の単語を被らせずに一日一題続けてきた件。

今年の創作活動を振り返る企画があると聞いて。
まずは「手帳」絡みの話からしましょうか。

化屋月華堂、2019年にオフラインイベントで出せた本は「ストレイトロード　ルート140」の4巻だけでした。
Twitterでフォローしてくださっている皆様はよくご存じかと思いますが、Ristaは毎日決まった時間帯に140文字SSを書くことを日課としております。

「懐かしい？」イベント会場に吸い込まれる来場者の列を見ていたら藍に尋ねられた。仕事の経験を軽く説明すると不思議な顔をされた。「来た人を数えるって機械の仕事でしょ」「ここではそうかもしれませんね」監視カメラを通した解析には金がかかる。小さな行列や細道の往来は今も人の手に頼るはずだ。

— Rista(化屋月華堂) (@Rista_Bakeya) 2019年12月27日

これは昨日のですね。

自分に課したルールは以下の通り。
1)短編から始まったシリーズ「ストレイトロード」の話を書く。
2)お題決める→本文書く、は18時半以降に開始。日付が変わるまでに投稿する。
3)50回で一周。毎日のお題は原則として五十音順に選んでいく→50日目までの残りはフォロワーさんに出してもらう
4)以前使った単語はお題にしない（リクエスト分が重複した場合は全く違う話にする）

必ずしもきっちり守れているわけではないのですが。
1と2はともかく、3と4は長続きするほど大変になる縛りなので、工夫を重ねてきました。

まず3。紙の辞書（国語辞典）がお手元にある方は見ていただきたい。五十音の中で単語数の多い少ないが結構激しいのです。
特に掲載数が少ない「ぬ」は一般的な（日本語の）単語自体が少ない。
一方「二つ以上の読み方がある単語」はどちらの頭文字で使うか迷うところだったので、「両方の読み方で文中に使う」ことを条件に、時折「ぬ」の代わりに差し込んでいます。
これもまた言葉の使い方の勉強になります。

そして4。
被らせないためには使用済みのお題を全部把握している必要がありますが、さすがに暗記はできないし、まとめのページ数も多いので検索も結構大変。
そこで導入した対策がこちら。

年明けに向けて準備しつつ、合間に今年を振り返っている。 pic.twitter.com/8t4P0C6aZc

— Rista(化屋月華堂) (@Rista_Bakeya) December 22, 2019

普段持ち歩く手帳のメモページにタイトルのみ全部書き出しました。当然次のページに続きます。
うっかり被らせた場合は回数も書いています。
一年ごとに新調するときには全部書き直し……はさすがに骨が折れるので、そのページだけ切り貼りして引き継いでいます。

他の人が見ても全く意味不明なページ！
でも自分にとっては、積み重ねの成果が一番はっきりと目に見える。そんな裏話でした。

これまでのお題は一周ごとにTogetterでまとめて、さらに一年ごとに本を作って出しています。
悪戦苦闘の痕跡をご覧いただけると幸いです。

close

書き残す：back to back

テキレボの特徴の一つが、毎回「イベント前に」webで公開される公式アンソロジー企画。
同じテーマにそっていろんな人がいろんなものを書いてくるので、作風や好きなモチーフがよくわかるという点でも、上手な人の作品が勉強になるという意味でも、とてもよいものです。

化屋は状況によって出したり出さなかったりするのですが、第９回テキレボではなんとか提出しました。
早期提出（アンソロ公開前に出せると閲覧数が伸びるらしい）こそ断念しましたが、締切日におびえないで余裕もって書き上げただけえらい。Ristaえらい。（相方含め誰も褒めてくれないので自分で褒める）

で、その内容なんですが。

すごい人が現れて去って行くのを見守ることしかできなかった傍観者の話です。
相変わらず薄味な話に感じるかもしれない。でも最近分かりました、Ristaは濃い味の話が書けない。しょうがない。

でも何を描こうとしていたのかだけでも、未来の自分のために書き残すことにします。

今回は３つの要素を並べて「これで書こう！」と決めました。

土台：アンソロのテーマ「imagine」
…連想したのはレノン氏の有名な楽曲。
……ついでに思い出したのは高校の英語の授業。ビートルズファンの教師が時々教科書放り出してプリント配って歌詞を教材にしてたんですよね。それを思い出しつつ、あのフレーズを使ってみようかなと。

背景：化屋の自主制作本部門の主力「ストレイトロード」
…まあ藍ちゃんが風を操る際にもimagineは重要なんですが。
……何も浮かばなかったので、彼女には300字ポストカードで頑張ってもらうことにします。

中心：「魔女に向けられた銃から枝が生えてくる場面」
…Ristaは物語を考えるとき、キャラでも世界観でもなく場面（ワンシーンのイメージ）から始める人です。
……長年あたためていたイメージの一枚を引っ張り出してきました。ストレイトロードが生まれるよりずっと前から頭の片隅にあったものです。

以上をもって話を組み立てました。
第三者目線にすることは割と早くに決めていましたが、どの立場から描くかは悩みました。
あとタイトルをどうするか。
悩みまくって行き着いた「back to back」は「立て続けに」という意味です。前の状態に「戻される」展開とかけてます。
（背中合わせという意味もあるんですが、残念ながらそれっぽい場面は入れ損ねました。）

既刊との関連性とか世界観の説明に行数を割けないこととか、そもそも短い話に詰め込める内容は限られるとか、諸々考えた結果「藍ちゃんの物語から十数年後」「衰退した日本のどこか」を舞台にした「一晩の出来事」ができあがりました。
藍ちゃんの他にも不思議な力の持ち主はいるよ、というのは「the first junction」はじめ既刊でも触れていたのですが、具体的な登場はこれが初です。

どういう能力なのかっていう肝心なところは推測だけで答えは一切明かしてないですが。
○○の使い方がおかしいとか、この状況でこんな会話はないんじゃないかとか、細かいところが気になる人もいるかもしれないですが。
とりあえず
「お先真っ暗だと思ってた人たちが不思議な出来事に振り回された結果ちょっとだけ励まされた」
という割と王道っぽい大筋の部分だけ伝わってくれたらそれでいい！
というか最後まで読んでくださった人がいてくれたらそれでいいです！ありがとうございます！

プロット書いて、ストーリーをまとめて、本文に着手し……たところで盛大に体調を崩すなどいろいろありましたが、なんとか無事に投稿の日を迎えました。
３ヶ月前のRistaさん、安心して！やりきったよ！
しかも4000文字ジャストで！！

close

反省だらけのテキレボ8参加報告

去る3月21日、浅草で開催された第8回Text-revolutionsに行ってきました。
なんだかんだ言ってオフラインではこのイベントを軸に動いている気がする化屋月華堂です。
サークル参加の経験を積み重ねて……何年目だっけ？

「設営の開始時間に間に合うように到着」という目標は今回も達成できませんでしたが、「自ブース設営にかける時間の短縮」はなんとか達成できました。

#テキレボ

初めて時間内に設営完了できた化屋の様子です。 pic.twitter.com/qBPkq8unla

— Rista(化屋月華堂)…3/21はテキレボB-27 (@Rista_Bakeya) 2019年3月21日

なお写真左の木のみ「Petit Principal」(https://ameblo.jp/yoko-ventdoux/)の展示会で購入した作品であって化屋製ではありません。
前にも使った装飾なんですが、アンソロのテーマ「花」に合わせて再度持って行きました。

新刊は「ルート140」4巻。しかし正直そんなに出てません。というか藍ちゃん不調。
より目立っていたらしいのは海巡りアンソロ（作者の皆様のおかげです）とDROPOUT（思わず「いいんですか！？」と口走ってしまって苦笑された）。
気まぐれというか半ばノリで持ち込んだ魚のストラップも無事出てくれた（これ白魚？と聞かれたのですが正直「夜道で目立たせることしか考えてない」カラーリングなので種類は特にない）。
いや自分は本当何しにテキレボへ行ったんだ。

#テキレボぬいぐるみ部
手前の白魚だか何だかわからないものは買えます。 pic.twitter.com/Bma39jssRF

— Rista(化屋月華堂)…3/21はテキレボB-27 (@Rista_Bakeya) 2019年3月21日

でも、たとえ部数が出なくても、参加したこと自体が楽しいと思えた。この気持ちが重要なんですよね。多分。


さて、今回何よりも忘れてはならないこと。
それは初のユーザー企画主催「テキレボねこマップ！」でしょう。
ねこあつめ企画はあってもいいのではないかと前々から言われていましたが、結局誰もやってないと聞いて立ち上げました。
おかげさまで主催含め13サークルのねこ作品が集まりました。
3/21「テキレボねこマップ！」参加サークル紹介
余裕を持ってスケジュールを組み、マップ作成に時間が掛かると予想していたので本番2ヶ月前にエントリーを締め切っていたのですが、ふたを開けてみればそのマップになかなか着手できず。これだったら2月末まで募集していてもよかったかもしれない。
あと宣伝もあんまり力を入れられなかった。上記のモーメントは猫の日に合わせて作成しましたが全サークルは押さえられていません。

当日はマップを持って参加サークルさんを回りました。
「○○○運輸でーす」のトーンで「ねこマップでーす」と声をかけてはマップと参加御礼（差し入れのお菓子）を渡していった。若干不審者ムーブ。
開始後に行ったのは「マップを渡すと同時に本を買う」ためだったのですが、結果的に入れ違いやら留守時間の長期化などを招いてしまい……いろいろなチャンスを失ったかもしれない。
ついでに言うと、ねこマップ制覇のことで頭がいっぱいで、他のサークルさんをあんまり見て回れなかったことも心残りに違いありません。
（もっともねこ作品あつめるだけでサークルの売り上げを余裕で超える出費になったんで、どのみち涙をのむしかなかったんですが！）

しかも今回、字数制限を設けなかったためか紹介する内容がたくさんになりまして……A4では見づらくなってしまったので思い切ってA3にしました。
はい、大きいです。たたまないと持ち歩けないです。これ大きな失敗だったかも。

#テキレボ 前日。
白目むいて仕事を進めております(もちろん本業の方)。こういうときに限ってイレギュラーが多い。帰りたい。せめていつも通りの睡眠時間を確保したい。

いつも以上に、こいつが羨ましい。
(#テキレボねこ マップは爪立てられる前に回収して会場に送りました) pic.twitter.com/yFgmoZhFQT

— Rista(化屋月華堂)…3/21はテキレボB-27 (@Rista_Bakeya) 2019年3月20日

実際にマップを参考にしてくださった方がいたのと、参加したいけどできなかったというサークルさんがいたこと、エントリーがないけどねこがいる作品を見つけてしまったことを受け、次回のテキレボでも企画は続行しようと考えています。
紙の質は好評だったので今度は冊子かリーフレット式にします。あとサークル巡回は開始前にやります。

なお、評判の良かったねこアイコン（写真にもちょっと見えていますね）、実はフリーフォントでした。これも続投かな。
http://kitamichi.sub.jp/Sites/iblog/C513573485/E937677024/


そしてもう一つ、忘れてはいけませんね。
上の引用したツイートで写っていながらスルーしている新顔についての話をします。
ブースにぬいぐるみが増えていることに驚かれた方もいたでしょうし。

化屋月華堂は「面白いと思えば何でも作ってみる」ための看板であり、文芸専門サークルではありません。
最近は本を作るのと並行してぬいぐるみ作りもしています。藍ちゃんが第一号、その後にも何体か作っていますが、「これが一番安定する」作り方がまだ確立されていません。
その辺の試行錯誤はとにかく実物を作らないとできない。
ということで、昨年夏のテキレボでれぼんちゃんぬいぐるみを納品した直後から、制作の手順のテストを兼ねた新作に着手していました。

今回のテーマは同じくテキレボに参加されていた「むしむしプラネット」さんの作品から、「ふわりんかーねいしょん」の主人公モニャニヤちゃんと、「迷宮百貨店にて」「月影図書館にて」の主人公ミオちゃん。
ふたりは同じ学校に通う親友ということで、同じデザインの制服2着もセットで設計・製作しました。
3冊の表紙とにらめっこしながら素材を探し、特徴的なパーツの型紙を起こし、立体になったときの形状を想像しながら縫い合わせ……気づけば半年。
特に苦労したのは順に「ブレザーの衿と装飾＞モニャ子の８本足＞綿の詰め方」でした。

頼まれたわけでもお祝いでもなく、「心に残っている本のイメージを形にする」ために作ってきた2体を、この日無事に作者の柏木むし子さんへ進呈できました。
娘さんたちにも気に入っていただけたとのこと。よかった！


ポストカードラリーのweb公開はこれから、しかも公式アンソロなど次のテキレボのことも考えなければいけないのですが、
化屋月華堂の活動として現在決まっている「次」は、6月の「静岡文学マルシェ」になります。
こちら3回目の参加です。新刊の予定はありませんが、その分きちんと参加することに重点を置くつもりです。
見本誌の分を忘れずに持ち込んで並べるとかね！

close

2018年の記録

サイトのイベント履歴にも載っていますが、今年はイベントにたくさん参加しました。
コミティア（東京・名古屋）、文学フリマ（東京・金沢）、静岡文学マルシェ、おなじみのテキレボ。
……とりあえずゼロ配布は回避しました。爆発的な何かも起きませんでしたが。

成果といえば「DROPOUT」をついに本にできたこと（何年も言い続けていた）、れぼんちゃんぬいぐるみを作ったことでしょうか。
それらの流れを受けて、続きを書き続けたり新作を作ったりしています。

カフェパは……ひとつ区切りをつけたことはあるものの、反省点しかない。何とは言いませんが。

もうすぐ新しい年が来ます。
楽しむ年、自分のキャラたちを幸せにできる年に、したいなあ……